「肥満症薬バブル」でGAFAMを猛追する2つの銘柄 開発をリードする医薬品企業の評価が急上昇
東洋経済オンライン / 2024年3月29日 7時20分
イーライリリーは非アルコール性脂肪性肝炎などに適応を拡大する試験を行っており、ノボもGLP-1薬で腎臓病や認知症に対する試験を進めている。株価急騰の背景には、こうした肥満症以外の新薬への期待も含まれているのだろう。
なお、世界でGLP-1薬の品不足が起きている理由として、2型糖尿病や肥満症患者ではない人たちが適応外使用している問題も指摘される。イーライリリーは2024年1月、マンジャロやゼプバウンドについて「美容目的」で使用することを控えるよう呼びかける文書を発表した。
肥満症は、肥満度を表す体格指数であるBMI(ボディマス指数)が一定以上の人で、さらに高血圧や脂肪肝、月経異常など健康障害が1つ以上あるか、内臓脂肪の蓄積により腹囲が一定基準以上の場合を指す。そのため単なる肥満の人やダイエット目的での利用は本来想定していない。こうした人たちが両社の足元の収益拡大に貢献している実態には、注意が必要だ。
アメリカのモルガン・スタンレー・リサーチは、肥満症薬の世界市場が2030年までに11兆円を超す規模に達すると見込んでいる。投資家の間でも過熱する肥満薬バブルは、まだ当面続きそうだ。
兵頭 輝夏:東洋経済 記者
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