マッキンゼー流「休みつつ働く」ことのすごい成果 根を詰めた姿勢は思考を阻害してしまう
東洋経済オンライン / 2024年3月30日 15時0分
今でこそ、「集中しない集中」を心掛けている私ですが、以前はまさにオールドスタイル、いわゆる「がんばる働き方」をしていました。私は大学を卒業後、マッキンゼーに入社しました。当初、私はひたすらがむしゃらに働きました。毎日深夜まで集中して働き、一つの仕事が終わればすぐ次の仕事に……という毎日の繰り返しだったのです。
しかし、そんな生活を長く続けられるわけもなく、あるとき急に緊張の糸が切れ、いわゆる「燃え尽き症候群」になりかけました。そんなとき不思議といきいきしている先輩やメンバーがいることに気づき、何が違うのか観察しました。
そこでわかったのは、「集中の質の違い」があるということです。彼らはもちろん集中して働いていたのですが、毎日朝から晩まで集中しているわけではなく、「無駄な仕事」と「必要な仕事」を見極め、必要な仕事だけに短時間集中するという働き方をしていました。
周囲には、「午後6時に帰るのに、成果はきっちり上げる先輩」や「マシーンと呼ばれるくらいのスピードで資料を仕上げる先輩」などがいて、「これが集中するということか」とあっけにとられたのを覚えています。
あるとき、印象深い出来事がありました。その先輩はもともと仕事ができる人だったのですが、一時期、あまりにハードな案件にアサインされて、周囲の目から見ても大丈夫だろうかという状況に追い込まれているような印象でした。
その様子を見ながら私は、「このままいくと、倒れるか、退職するかしか選択肢はないのでは……」とハラハラしていました。実際、ハードな仕事が続くと、服装もヨレヨレになり、立っているのもやっとではないかという状態になっていることもしばしばありました。しかし、それでもしばらくすると、さっぱりした表情をして、これまでの様子がウソのように、はつらつと仕事をしているのです。
私の頭の中は「?」でいっぱいになってしまって、意を決して、「何かあったんですか?」と聞いたところ、「瞑想をやっているんだ」と教えてくれました。
がむしゃらにやるだけではダメ
このとき私の中で、周囲の人たちが集中して質の高いアウトプットを出す姿と、先輩が瞑想によって心をリラックスさせたうえで、集中できる状態を自ら創出している姿が一本の線でつながりました。
「ただがむしゃらにやるだけではダメなのではないか」「もっとリラックスして働いたほうが、結果的によいアウトプットを出せるのではないか」「身体が疲れている状態で集中するのは不可能で、休息を取り入れながら集中できる状態にもっていく必要があるのではないか」――そんなことを私が悟った瞬間でした。
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