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京王井の頭線、四季の花咲く沿線と「7色の電車」 桜咲く春や梅雨のアジサイ、稲穂実る秋の田園

東洋経済オンライン / 2024年3月30日 6時30分

次は京王線と交差する乗換駅、明大前駅だ。この駅前から甲州街道を渡ったところの小公園には井の頭線を跨ぐ玉川上水水路橋があり、複線の線路に並行してさらに2線分の空間が確認できる。これは井の頭線を開業した帝都電鉄の前身、東京山手急行電鉄が計画して未成に終わった路線、通称「第二山手線」の遺構といわれている。

永福町駅は井の頭線で唯一の待避設備がある駅で、急行と各停の接続駅になっている。橋上駅のビルの屋上には展望庭園「ふくにわ」が開放され、富士山や奥多摩の山々を背景に井の頭線の電車も遠望できる。

東松原駅周辺でも見られたアジサイは、永福町、西永福、浜田山あたりまで連続して咲き誇っている。とくに浜田山から吉祥寺方面の線路際は見事で、松本清張邸(浜田山―高井戸間の線路脇)あたりまではシーズンになるとカメラの放列が続く。

浜田山駅からは勾配区間が続き、高井戸駅は高架上の駅である。ホームからは高井戸寄りに桜並木が見え、電車はさながら桜花爛漫の中から飛び出してくるようだ。また、高井戸―富士見ヶ丘間の線路沿いの切通しの崖線にはツツジが植えられており、アジサイとはまた異なった風情を感ずる。

富士見ヶ丘駅には検車区が隣接し、同駅始発や終着の電車もある。久我山駅は閑静な住宅地にあるお洒落な雰囲気の急行停車駅。駅前には神田川、少し歩くと玉川上水があり、川沿いは散歩コースとして整備されている。筆者はよく、三鷹台駅から井の頭公園駅まで神田川沿いに歩く。遊歩道には桜が咲くほか、自然に井の頭公園へと入っていくコースがいい。井の頭公園駅を出て公園内の神田川を渡り、電車は終点吉祥寺駅に到着する。

線路沿いでの井の頭線の撮影は、雪景色、新緑、紅葉と四季折々の魅力があり、散策しながらそのつど新しいアングルを探し出すのも筆者の楽しみのひとつである。

全国を走る「井の頭線」

井の頭線が7色の電車になったのは、1962年に登場した3000系(2011年引退)が始まりだ。前面2枚窓の「湘南形」デザインのステンレス製電車で、井の頭線から引退した後も多くが地方鉄道に譲渡され、今も根強いファンが各地でカメラに収めている。「撮り鉄」でなくても井の頭線利用者なら旅行などでの訪問時に乗って懐かしく感じることもあるだろう。しかし、その姿も世代交代で少しずつ減る傾向にある。

最初に譲渡されたのは北陸鉄道(石川県)の浅野川線で、金沢から日本海に面した内灘まで延びるローカル私鉄だ。2両編成に改造のうえ1996年に移籍し、同線は全車両が元井の頭線3000系となった。その後、同鉄道の石川線にも1本が入線している。元気に北陸を走ってきたが、元東京メトロ日比谷線の03系導入により浅野川線では風前の灯となった。

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