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トーナメント戦でいい?高校野球"常識"覆す挑戦 「高校3年夏で負けたら引退」は"固定観念"だ

東洋経済オンライン / 2024年3月30日 11時10分

主催者の新聞社がつくり上げた「負けたら終わり」の一発勝負は単純明快で、甲子園で数々の名勝負を生んできた背景にもあるだろう。

だが本来、高校生年代は選手として成長段階だ。

それなのにトーナメント戦では高校生時点で実力的に上の選手たちばかりチャンスが与えられ、大器晩成型は不利になる。

プロ野球に目を向ければ、秋山翔吾(広島)や則本昂大、荘司康誠(ともに楽天)のように高校卒業以降に大きく伸びた選手も少なくない。

阪長は、青年海外協力隊で中南米に派遣された頃に現地の野球を視察し、日本の仕組みに疑問を感じ始めた。

「強豪校に進んでも、1回も公式戦に出場せずに終わる選手もいます。それはトーナメントというシステム上、『この選手は今、活躍できないだろう』と見られるからです。でも他のチームなら出場できる可能性もあるわけで、もっと個人が経験を積める場所があってしかるべきだと思います」

そうして実現に向けて動き、8月上旬から中旬に北海道で開催されるのが「リーガ・サマーキャンプ」だ。

強豪校で補欠に終わった選手や、地方大会で早く負けて消化不良の選手、大学進学へアピールしたい者など高校3年夏の大会を終えた約80人の3年生を募集し、4チームに分けてリーグ戦を実施する。

金属バットではなく、大学やプロと同じ木製バットを使用するのは、先のステージを見据えてのことだ。

日本ハムの本拠地エスコンフィールドHOKKAIDO

9日間で各チームが7〜9試合プレーする。メイン会場は栗山町民球場で、最終戦の舞台は日本ハムの本拠地エスコンフィールドHOKKAIDOだ。

「日本ハムの知人に挨拶に行ったら、『日程の都合さえつけば、どうぞ使ってください』とおっしゃってもらいました。まさかエスコンを使わせてもらえると思っていなかったので、すごくびっくりしました」

「高校野球を終えた3年生に成長の機会をつくる」という前代未聞の挑戦を始めた阪長は、数々の人に助けられて開催可能なところまで漕ぎ着けた。最初に手を差し伸べてくれたのが、メイン会場となる栗山町の人々だった。

「そんな機会をうちの町で企画してくださるなら、できる限り協力したい。球場の確保を含めて一緒に前向きにやりましょう」

当初、阪長は「北海道のどこかで開催できれば」と考えていた。2023年8月、夕張や野幌を視察に訪れ、札幌に戻る途中で「栗山町にも球場があったな」と立ち寄った。

ホームベースのほうからセンターバックスクリーンを眺めると、「北海道のこういう場所でやりたいと思っていた」と雄大な景色に一目惚れした。

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