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「ゴミ屋敷に住む20代弟」を救い出した姉の述懐 もしも家族の部屋がゴミ屋敷になってしまったら

東洋経済オンライン / 2024年3月30日 12時0分

文直氏の弟・信定さんが通路のゴミを掻き分けて部屋に入ると、頭が天井についてしまった。背が高いとはいえ、部屋全体にゴミが積み上がっていることがわかる。扉を閉めようとすると、ドアノブの高さまでゴミの山が迫っていた。壁際になるとゴミの山はもっと高くまで積み上がっている。窓際に布団が敷いてあるが、その様子を見る限りはゴミに埋もれながら日々眠っていたようだ。

とくに多いのは生活ゴミだ。ペットボトル、弁当やカップ麺の空容器、お菓子の袋などが無数に散乱している。壁際に投げられた小さいゴミ袋の中もやはり生活ゴミ。初めのうちはなんとか袋にまとめていたがゴミ出しまでには至らず、次第にまとめることもやめてしまった様子が見て取れる。ベランダもゴミだらけだ。4年間、あまざらしになったゴミは水で分解され、すでに粉状になっている。

キッチンはかろうじて使える状態だったが、インスタントラーメンに入れていた卵の殻が何個もそのままで放置されている。トイレや浴室など水回りの状態もかなり悪い。生活ゴミがバスルームにまで侵食していたが、それよりも汚れがひどい。一度も掃除をしていないであろうバスタブには髪の毛がワサっと溜まっていて、カメラには映せないような状態だった。

「マンションの契約書、年金手帳、貴重品類以外はすべて空にしてしまって大丈夫ですか?」(信定さん)

「はい、すべて処分でお願いします」(姉)

電子機器やゲーム機なども残っているが、これらも含めていったんすべて捨てるという。作業開始から30分で玄関とキッチンの片付けが済んで動線が確保されると、部屋のゴミもみるみるうちに減っていった。

理由なくしてゴミ屋敷にはならない

文直氏によれば、医師の診断の有無にかかわらず「うつが原因でゴミ屋敷になってしまった」と話す依頼者は多いという。ただ、少し意地悪な見方をすれば、「診断を受けていない場合、うつを言い訳にしている」ように捉える人もいるだろう。極論、業者にとっては依頼主の病状は関係ないとも言えるが、そこには文直氏なりの考えがある。

「医師がうつと言ったからうつ、逆に医師の診断を受けていなかったらうつではない、とは思わないです。病院に行くのも家を出るのもしんどいみたいな状態もあるわけじゃないですか。診断の有無はそこまで重要ではないというか、しんどいことには変わりはないと思うんです」

以前立ち会った現場で、その考えを再認識したという。

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