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日本を世界的に見て「異常な国」にした真犯人 金融正常化は日本経済を正常化させるか?

東洋経済オンライン / 2024年3月31日 10時0分

アジア諸国の中では、日本は下から3番目。日本より低いのはインドとフィリピンだけという状態だ。調査項目によっては、世界最低となった。特にデジタル関係では順位が極めて低い。

日本以外の国(特にアメリカ)で、新しい分野の企業が成長したため、時価総額の世界ランキングにおける日本企業の地位が低下した。いまや、世界ランキング100位以内の日本企業は、トヨタ自動車1社のみとなった。そのトヨタも、ガソリン車を中心とするメーカーであり、今後進めなければならないEVへの移行の中で、どうなるかわからない。

国際収支でも問題が生じている。サービス収支赤字の中でデジタル関連の赤字が増大し、いまや、サービス収支赤字の8割程度を占めるようになっている。

また、日本の金利が低いために円安が進行し、外国人労働者にとって、日本はもはや魅力のある国ではなくなった。今後労働力不足が一層進む日本において、これは極めて大きな問題だ。

世界的なインフレの中で目立つ日本の「異常さ」

2021年にアメリカでインフレが発生し、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)は、金利の引き上げを開始した。さらに2022年春のロシアのウクライナ侵攻によって、エネルギー価格や食料品価格の世界的なインフレが発生した。こうした状況に対処するため、各国の中央銀行が金利を引き上げた。

しかし、日本銀行はマイナス金利政策を継続した。このため、特にアメリカとの間で金利差が拡大し、著しい円安が生じた。そして、世界的なインフレが日本に輸入された。

これによって企業の利益は増大したが、賃金の伸びが追いつかず、実質賃金の伸びがマイナスになるという事態が発生した。

以上で見たような金融緩和・円安政策は、2016年に始まったものではなく、2000年頃から継続してきたものだ。

これは中国の工業化に対してとられた政策だ。中国は安価な労働力によって安価な製品を製造し、世界の輸出市場におけるシェアを急速に拡大した。これは、とりわけ日本の製造業にとって重大な脅威であった。

それに対して本来必要とされたのは、産業構造を改革して、中国では生産できない財やサービスの生産を中心にする産業構造に転換していくことであった。

アメリカはIT革命によって製造業中心の経済構造から高度サービス産業を中心にする経済構造への転換に成功し、新しい経済発展のパターンを実現していった。

それに対して日本は、古い産業構造を残す選択をしたのだ。

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