4月10日韓国総選挙・現政権が勝ってもいばらの道 尹錫悦政権の命運かかる選挙戦がスタート
東洋経済オンライン / 2024年3月31日 13時0分
そのような中、2023年12月、尹大統領の最側近で釜山を地盤とする有力国会議員が「私を踏み越えて総選挙で勝利し、尹錫悦政権を成功に導いてほしい」と述べて、早々と不出馬を表明。他の重鎮たちに勝手な行動をさせない流れを作り、公認選びの負担を減じた。
現有で過半数の議席を占める巨大野党「共に民主党」が公認選びで大混乱したことも、政府・与党の追い風になった。かつての自治体首長時代の背任や収賄の罪で在宅起訴されたまま党代表を務める李在明氏が剛腕をふるう形で、自身と距離を置く人物にことごとく公認を与えず、離党や新党に移る現職が相次いだ。
李在明氏は2022年の大統領選で、ほんのわずかな差で尹大統領に敗れた。この時は尹氏を嫌う無党派層の票をかなり得たとされるが、李氏に批判的な野党議員の1人は「公認選びをめぐる騒動に嫌気をさした無党派層が離れ始めている」と懸念を口にする。
これらの動きを受け、順風満帆にみえた与党側だが、3月中旬あたりから徐々に風向きが変化してきた。
その原因の1つは、これまで政権支持率を押し上げる主要因ともされた医療改革の反動である。
医師団体側の徹底抗戦の構えに変化はなく、現場の医師は職場を離脱。医学部生は授業をボイコットする中、時間が経つにつれて生死がかかわるような深刻な治療から定期検診にいたるまで、十分な処置が受けられない実害が出始め、市民らの不満が高まってきた。
医師団体ではさらに、トップに医学部生の定員増ではなく、定員減を主張する「最強硬派」が就任。尹大統領は医学部の教授らに対話を呼びかけるなどしているが、基本的には強硬一辺倒の姿勢を改める気配はない。
患者側をとりまく切実な状況は、明確な打開策を示せない政府・与党側への批判を高め、潮目が変わりつつある。
スター政治家が登場したものの…
そうしているうちに、韓国軍兵士の殉職事件に関連し、職権乱用の疑いで捜査を受けていた前国防相が、出国禁止措置を受けていたにもかかわらず、政権がそれを解除させ、駐オーストラリア大使に赴任させたことも反発を招いた。
韓国政界では、自分に甘く他人には厳しいという姿勢を「ネロナンブル」と言って揶揄(やゆ)される。韓国語で「自分がやればロマンスだが、他人がするのは不倫」という言葉を短縮した造語で、朴槿恵政権や文在寅政権の身勝手ぶりを指摘する際に使われた。
検事出身の尹大統領はこれまでやたらと「法とルールの順守」を強調してきたが、批判勢力や少数派の自由を制約するかのようなケースが目立ってきており、前国防相に対する特別な扱いも象徴的な出来事ととらえられている。
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