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東京都が切り捨てたカウンセラーに広がる余波 江東区はSCを「有償ボランティア」として募集

東洋経済オンライン / 2024年4月1日 11時50分

250人のスクールカウンセラー(SC)を一度に雇い止めにした東京都教委が入る東京都庁第二本庁舎。SCたちは同様の再任用拒否が全国の自治体にも広がっていくのではと懸念する(筆者撮影)

東京都の非正規公務員であるスクールカウンセラー(SC)250人が3月末で“雇い止め”にされた。働き続けることを希望して試験を受けたSCのうち5人に1人が不合格。中には勤続10年、20年で、学校からの評価も高い「ベテラン」も少なくない。SCらが加入する労働組合は「これだけの規模の非正規公務員の雇い止めは全国初ではないか」と懸念する。不登校やいじめ、発達障害、自殺未遂、ヤングケアラー、宗教2世などさまざまな問題に対応するSCの突然の“大量解雇”は学校現場にも大きな混乱を招きかねない。その背景と影響を全3回でリポートする。

*1回目:都の学校カウンセラー「250人雇い止め」の衝撃

【画像】衝撃の、江東区スクールカウンセラー募集要項のページ。現在は募集は終了している

*2回目:「妊娠したら辞めて」教育委員会のマタハラを"証言"

「もはや職業ですらないなんて……」

「雇い止めにされたスクールカウンセラー(SC)がほかの自治体の募集に殺到して、倍率50倍を超えたところもあったそうです」

「予定の試験日程では収まりきらないほどの応募があった区もありました」

「江東区が募集するSCは有償ボランティアなんです。もはや職業ですらないなんて……」

東京都から雇い止めにされ、別の自治体での仕事を探すSCたちの間でさまざまな“余波”が話題になっている。

中でも衝撃をもって語られたのが、江東区がSCを有償ボランティアとして募集している、ということだった。都内の一部の自治体は、都とは別に独自に会計年度任用職員のSCを採用しているが、同区は職員ではなく有償ボランティアなのだという。

有償ボランティアとは文字通り、少額の謝礼を得て活動するボランティアのこと。本来の特性である「無償性」と矛盾するという指摘があるなかで、一般的な水準よりも安い単価で働く人のことを「有償ボランティア」と称する動きは官民問わず広がっている。「最低賃金以下で働く労働者」が安易に増えることに、個人的には強い危機感を覚える。

1校当たりの年収は3分の1に

同区のホームページをみると、たしかに有償ボランティアSCの募集要項があった。応募資格として「服務規律及び職場のルールを順守」などとあるほか、小中学校の勤務回数は年間23回程度、勤務時間は1日6時間程度、謝礼金は1時間4200円と記載されている。都と比べると年間の勤務時間は半分、1校当たりの年収は3分の1ほどになる。

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