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新幹線だけではない「鉄道・運輸機構」の仕事とは? 「JRとは違う」藤田理事長に直撃インタビュー

東洋経済オンライン / 2024年4月1日 6時30分

インド高速鉄道にも専門家を派遣

――インドの高速鉄道ではどのような業務をしているのですか。

プロジェクトの調査段階では事業可能性調査や構造物の詳細設計について鉄道の専門家を派遣しています。プロジェクト進行中の現在は、事業主体であるインド高速鉄道公社(NHSCRL)へ鉄道に関する総合的なアドバイザー・専門家として、技術者を派遣しております。また、インドからの研修員を受け入れ、新幹線建設現場を案内し、建設における安全性についても理解を深めてもらっています。さらに、NHSRCLが電気システムを調達する際、日本高速鉄道電気エンジニアリング(JE)が発注支援をしますが、私たちはJEに出資しています。

――海外の鉄道コンサルティングでは日本コンサルタンツ(JIC)や海外鉄道技術支援協会(JARTS)もありますが、どのように棲み分けているのですか。

JICさんは株式会社であり、インドの高速鉄道プロジェクトはビジネスとして行っています。JARTSさんは社団法人で公益的事業を行う非営利団体。法人のステータスが違いますのでそれぞれ役割分担があると思います。JRTTにおいては、海外インフラ展開法が2018年に施行され、JRTTの業務に海外高速鉄道調査の業務が追加されたということで歴史が浅い。基本的には私たちのノウハウが活かせるところに人材を出しています。

――アジアのようなこれから鉄道が伸びていきそうな国に今後出番が増えていく?

それは日本の海外インフラ展開がどうなっていくかによります。私たちが独自にリスクを取って出ていくことはないでしょう。

――ここまでのお話をお聞きすると、国の決めた方針に従って活動しているような印象を受けますが、JRTTのほうからこんなことをやろうと提案して始めたものもありますか。

というよりも、お互いに意見をキャッチボールしながら決めています。私たちはいわば裏方ですが、実際にいろいろな調査をしているのは私たちですし、その調査結果が反映されるわけですから。

開業の瞬間「大きな喜び」

――就職先としてJRTTを志望する学生は、JRTTの業務をどのくらい理解しているのでしょうか。

どうなんでしょう。土木を志望する人は業務内容を理解している人が多いと思いますが、私たちが世の中に広く知られているかというとそうでもないので、なるべく関心を持っていただきたいです。そのための機会はたくさん作りたい。

――就職先としてJRやゼネコンと比較した場合のJRTTの魅力とは?

調査、計画段階から地元との調整を行って、設計して、用地を取得して、発注して、施工管理をやって、完成検査をやってという、一連のプロセスをすべて一貫して取り組めるというのが1つの特徴です。それから、鉄道は土木、軌道、電気、建築、機会などの総合的なシステムであり、その全体を統合する総合性も特徴の1つです。そういう仕事をぜひ面白いと思っていただきたいですし、何より、後世に残る大きなものを作るわけですから、ぜひその辺をご理解していただきたいなと思います。

――その意味では、JRと比べると鉄道開業の瞬間に立ち会える機会が多い。

開業のときに地元の方に喜んでいただけるのは大きな喜びです。もう1つ挙げるなら、鉄道も船舶もCO2排出量が少なく環境にやさしい。サステナブルな社会に貢献できるということも理解していただきたいですね。

大坂 直樹:東洋経済 記者

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