「日経平均5万円」に向けて4万円台相場が始まった 4月1日からの1週間は波乱があっても慌てずに
東洋経済オンライン / 2024年4月1日 8時30分
実は、2023年9月に「ニュートラル(中立)」から「オーバーウェート」にしてから僅か半年後の引き上げはかなり異例のことであり、日本企業の予想以上の回復スピートを物語る証左である。以前から兜町では「アナリストも追いつけない業績回復」として話題になっていたことの証明でもある。
なお、2023年9月の見通し引き上げのとき、同社トは「穏やかなインフレ、力強い収益成長、企業統治改革などすべてが好材料」とし、企業の収益成長や自己株買いなどを好感した海外投資家の買いが続く」ことを挙げていた。今回の引き上げは、この状態がパワーアップし、日本経済がさらなる高みを目指すということか。
もちろん、今後の株価を考えるうえで重要な注目ポイントはいくつかある。その1つは為替予想だ。先述の大手証券3社の2024年度の予想の中で、3社ともドル円の予想レートは1ドル=145円になっていることは極めて重要だ。
日本企業の2023年度の業績は、2022年度(1ドル=130円台前半)からは大きな為替メリットを受けとったが、もし2024年度も1ドル=145円前後ならば、企業収益における為替メリットは大きく低減することになる。政府高官の為替介入発言が本気度を増したため、最近は151円台にとどまってはいるが、かなり神経質な動きとなっている。
2つ目は物価上昇を上回る賃金上昇の持続性だ。連合は2024年の春闘の賃上げ率を第1回集計で5.28%と発表し、第2回集計でも5.25%と高水準を維持した。また中小企業の回答も4.50%となっている。
とりあえず2024年度においては物価を上回る賃上げ率が実現しそうだ。さすがに2025年もこの高率が維持されるかはまだわからないが期待は高まっており、結果判明までのこれからの1年間は、株式市場にとっては少なくともネガティブ要因ではない。
また、国土交通省は3月26日に2024年の公示地価を発表したが、全用途の全国平均は前年比2.3%の上昇で、伸び率は平成バブル期以来、約33年ぶりの高さだった。株価や賃金に続き、土地価格にもデフレ脱却相場の波の広がりを見せている。
この間の日銀のマイナス金利解除は利上げ政策に他ならない。だが、解除後も日本の10年債利回りは0.7%台にとどまっている。「デフレ脱却・インフレ相場」の柱が、金利上昇で潤う銀行株だけでなく、金利に弱いイメージがある不動産・建設・鉄鋼株も堅調さを保ち、インフレ相場にそぐわない半導体系ハイテク株人気も持続している現在の相場は、きわめて下がりにくい体質を持っている。
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