「超人気つけ麺店」店主が日本を離れる切実な理由 "食べログ3.9"の名店を営むも「ずっと不安」だった
東洋経済オンライン / 2024年4月3日 12時0分
「麺のレシピを先に固め、その麺に合うスープを開発していきました。濃厚豚骨魚介だと二番煎じになるので、動物系オンリーでいこうと鶏・豚・牛のスープを合わせた濃厚な一杯を完成させました」(上野さん)
さらに、このつけ蕎麦のスープを作る工程でとれるあっさりとした一番ダシを応用して中華蕎麦を作り上げ、二枚看板として売り出した。炭火焼きと低温調理の3種類のチャーシューはオープン時から話題になった。
「二郎」に通っていたお客さんがオープン当初から来てくれて、徐々に口コミで広まっていった。その後、ブロガーが訪れ、年末には『TRYラーメン大賞』に掲載され客が絶えなくなった。
場所は土地勘のある多摩エリアで考えていた。このエリアは意外にも濃厚つけ麺の名店が存在せず、勝負するにはぴったりの場所だった。
日常食ではなく、“ごちそう”を作りたい
とはいえ、どの駅からも離れている決してアクセスが良いとは言えない場所。ここに決めたのはなぜか?
「『ひら井』は日常食ではなく、“ごちそう”を作りたかったんです。ですから、特別感を感じられる場所にしたいなと考えていました。うちの麺はゆで時間も長いですし、駅前でないほうがいいだろうと思っていました。
家賃も安く、行列も並ばせやすい場所で、しっかりお客さんがついていますし、これでよかったと考えています」(上野さん)
上野さんは、創業当時から差別化やブルーオーシャン戦略をしっかり練っている。味だけでなく見せ方、世界観などすべて抜かりなく考え、それを成功に結び付けてきた。
ラーメンの知識や技術はもちろんのこと、経営的意識が強く、修業先のラーメンともガラッと変えた味でラーメンファンを唸らせた。
海外進出の理由は?
ここからが本題である海外進出の話だ。順風満帆かと思える上野さんがなぜ海外に拠点を移すのか。
「日本でずっとやっていて大丈夫かというのはお店を始めてからずっと考えていたことです。海外はラーメンの価格も人件費も上がり続けているのに、日本はこのままで大丈夫かとずっと不安でした」(上野さん)
上野さんはもともと海外志向で、日本の経済が心配だったため、海外に拠点があるといいなという考えは前からあったという。
昨年、旅行でオランダとドイツに行った時に、オランダに進出することに決めたという。オランダはまだラーメン屋がそれほど多いエリアではなく、現地の食文化や好みを理解したうえで日本の本格的なラーメンを出せば一番になれると確信した。5月にはオランダに行く予定だ。
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