1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「超人気つけ麺店」店主が日本を離れる切実な理由 "食べログ3.9"の名店を営むも「ずっと不安」だった

東洋経済オンライン / 2024年4月3日 12時0分

「東南アジアやアメリカなどはすでにラーメン店含め日本の飲食企業が多く、後追いになってしまうので、先進国でありながらそこまでラーメン文化が発達していない地域を考えると、ヨーロッパが良いと思っています。

オランダのラーメン店は味的にはまだまだのところが多く、英語も通じるし治安も良いので、進出するにはぴったりのエリアかなと考えています。日本人がビザを取りやすいというのも大きな理由です」(上野さん)

上野さんは現地のラーメン屋でまずは働いてみて、英語を勉強しながら現地の味を学び、感覚をつかみたいという。その後、自分のお店をやるとしたら得意な豚骨ラーメンで勝負することは決めている。

日本の「ひら井」はそのまま残し、現メンバーに任せて、従業員の修業の場として機能させたいと考えている。

「ラーメンでなければ海外進出は考えていなかったと思います。日本のラーメンは世界で勝負できるジャンル。歳をとったらなかなか動けないだろうと思うので、動けるうちに自分の力を試したいなと。

海外で勝負できる武器を持っているのに戦わないのはもったいないという気持ちが一番大きかったです」(上野さん)

ラーメンの「1000円の壁」問題

筆者は数年前から、ラーメンの「1000円の壁」問題について取材、執筆してきた。どんなに美味しくても、どんなに高級食材を使っていても、ラーメン1杯の価格が1000円を超えるとお客さんが心理的に「さすがに高い」と感じてしまうという問題だ。

多くのラーメン店は原価や人件費などと戦いながら1000円以内の価格を長年守ってきたわけだが、ここ1~2年での水道光熱費や原材料の高騰を受けて、ラーメン店は「理想の価格」などとは言っていられなくなった。

高級食材を使うお店やガスで豚骨を炊きっぱなしのお店など、価格高騰のあおりを受けて、今までの価格では同じクオリティを維持できないレベルにまで来ている。

さすがに最近では、1000円を超える価格で提供する店も増えてきているが、1杯3000円や5000円ということもある海外と比較すると、日本のラーメン店はまだまだ安価なのは間違いない。

従業員はなかなか集まらず、最低賃金問題につねに悩まされ、人を育てる大変さも常々感じている中、日本のお店1つだけで続けていく限界を感じたのだという。

上野さんはまだ34歳。今後は海外に視野を広げて、さらに自分のラーメンで勝負していく。日本のことは見捨てず、お店を残してくれることは幸いだが、今後日本のラーメンがどうなっていくかはどうしても不安が残ってしまうのも事実だった。

井手隊長:ラーメンライター/ミュージシャン

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください