生ごみを触れない生徒が増加、家庭科教員の嘆き 洗濯やトイレ掃除は「宿題」に出て初めて体験
東洋経済オンライン / 2024年4月4日 11時0分
このように学力的には同じような子たちでも、経験の違いによって、できること、できないことの差は大きいです」
家庭での経験が圧倒的に不足している
子ども自身が将来、自立した生活を送れるようになるためには、家庭科で学ぶ基本的な知識は身につけておきたいもの。
だが「あなたは勉強していればいいのよ」と言われて育ってきた子どもたちは「生きる力」が弱くなっているのではないかという。
「中学生の家庭科では洗濯の項目があるのですが、今は洗濯をしたことがない子も多いです。洗濯といっても“ワンボタン”で終わる便利な時代ですが、そのボタンさえ押したことがない子も結構います」(Aさん)
経験の少ない子たちに必要なのは、座学はもちろん、とにかく「一度経験させること」。
そこで有効なのが「宿題」だ。思春期で親が言うことには反発する子でも、学校の宿題となったらやらざるを得ない。
「先日、洗濯の宿題を出したんです。衣類を仕分ける、洗濯機で洗う、外で干す、取り込んでしまう、までの一連の流れを体験してほしくて。
すると、いろいろな感想が出ました。『水で濡れた衣類がこんなに重いと思いませんでした』『家族が服を裏返ししたまま洗濯カゴに入れていたので、干すとき大変でした』など。
体験することで、おばあちゃんが洗濯物を持って2階のベランダで干すのって大変なんだな、とか服や靴下を裏返ししたまま洗濯カゴに入れるとどうなるのか、などリアルに想像できるわけです。そういう小さな気づきが大事です」(Bさん)
「宿題」で初めて「トイレ掃除」をする生徒も
中でも、保護者から感謝される宿題のナンバーワンがトイレ掃除だという。Bさんが続ける。
「今は学校でも業者の方がトイレ掃除をすることが多いので、家でやらないと本当にやったことがないんですよね。
やれば10分もかからずに終わるのですが、感想を見ると『もう二度とやりたくない』という子もいます。
やはり中高生になってから初めてやると嫌悪感が出てしまうので、幼稚園とか小学校低学年のうちにルーティーンでやらせることが大事だと思います。
それでも一度でもやると、『トイレがきれいなのはだれかが掃除してくれているからだと改めて感じました』という感想もあって、宿題を出した甲斐があります」
では、親はどんな経験を子どもに与えたらいいのだろうか?
「いちばん大切なのは、失敗する経験をつぶさないで、ということです。
最近では料理も、裁縫や夏休みの宿題なども、材料がキット化されているものが増えました。
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