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生ごみを触れない生徒が増加、家庭科教員の嘆き 洗濯やトイレ掃除は「宿題」に出て初めて体験

東洋経済オンライン / 2024年4月4日 11時0分

失敗しないようにパッケージ化された商品は便利で人気ですが、試行錯誤したり、失敗したりする経験は必須だと思います。失敗から学ぶことは大きいです」(Bさん)

失敗することが大事

ある学校ではこんな体験があったという。

「班に分かれてロールケーキを作る実習がありました。ある生徒が焼きあがったスポンジケーキを持ってきて、『先生、スポンジケーキがなんだか変なんですけど』と言うんですね。

『ちょっと食べてみたら』と言ったら、『塩と砂糖を間違って入れていました!』と。砂糖か塩か迷ったら、入れる前にちょっと舐めて確認してみよう、という発想はないんですね」

だが、その後日談がある。

「砂糖と塩を間違えて入れてしまった張本人の子が『次の授業でもう一回作り直しをさせてください』と交渉に来たんです。

自分のせいで班の全員がケーキを食べられなくなってしまい、そのことを一生、恨まれそうだと(笑)。もちろん許可して、次の授業でその班だけロールケーキを追加で作っていました」

失敗して悔しいと思う気持ち、もう一回チャレンジしたいと思う気持ちが子どもの成長を後押しする。ちなみに再挑戦の交渉に来た生徒は後に東大に合格したという。

「いろいろ経験を積んだ大人が考えた上で便利なものを選ぶのはいいと思います。しかし子どもに最初から便利なものを与えてしまうと、その分だけ能力が削がれてしまう、と考えた方がいいかもしれません」(Bさん)

Aさんはこう言う。

「確かに今の子どもたちはいろいろな経験が足りないです。でも若いから機会があればすぐにできる才能があります。凝り固まったものがない。

そして今の子どもたちは調べる能力は高いので、男の子でも刺繍などをやらせるとすごい作品を作ってきたりします。

最初は『こんなのやりたくない〜』『最悪〜』って言っておきながら、やり始めるとみんな熱中しますね」

経験値を増やしてあげて

最後に親が気をつけるべきことは何だろうか。

「勉強以外でもちゃんとほめてあげてほしいです。調理でも、縫い物でも、できたものをきちんとほめてあげると、中高生でもとても喜びます。

ほめて、経験値を増やしてあげることが大事ですね。それが生きる力につながると思います」(Aさん)

どんなに勉強ができても、難関校に通っていても、生きる力がなければ将来、苦労するのは子どもだ。

まずは、子どもが学校の家庭科でどのようなことをやっているのか、関心を持って聞いてみてはいかがだろうか。りんごの皮むきでも、ボタンつけでも、小さな経験を積むきっかけになるかもしれない。

江口 祐子:元AERA with Kids編集長

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