「アップル<マイクロソフト」と判断する大間違い 収穫期のMSと種まき機のアップルの違い
東洋経済オンライン / 2024年4月4日 7時30分
ソフトウェアを企業価値の中心に据えたマイクロソフトと、優れたハードウェアとそれを支えるソフトやサービスで事業を組み立ててきたアップルは、言うまでもなく企業そのものの構造がまったく異なる。
【写真で見る】アップルの世界開発者会議「WWDC 2023」に公開された「Apple Vision Pro」
それでも比較されることが多いのは、1980年代からのパソコン黎明期において、この2社がライバルのように扱われていたからだろうか。過去10年間、間違った経営判断をしていないという共通点もある。結果、両社とも極めて強固な事業基盤を誇り、近年も高い業績水準を維持している。
MSとアップル市場からの「見られ方」
しかしながら、先行投資してきたAI事業がさらなる基盤強化につながると見られるマイクロソフトに対し、アップルは屋台骨のハード事業が成熟し、新しい付加価値を生み出せずにいると一般的には見られている。
マイクロソフトが久々に時価総額でアップルを逆転したが、積極的に事業の形を変え、現代のテクノロジー産業に適応した事業ポートフォリオへと体制を整えたマイクロソフトが収穫期を迎え、ハード事業が成熟し、新たな分野を開拓しきれずにいるアップルが試練を迎えているーーと市場が受け止めているのも無理からぬことだ。
近年のマイクロソフトはクラウド事業が支えとなり、業績も絶好調だ。同社が成長した1980年代から1990年代にかけてと現在では、まるで事業ポートフォリオは異なるが、実は企業としての強みの本質は大きくは変化していない。
かつては、世界中で使われるパソコンの基本ソフト(OS)を独占的にライセンスし、オフィスで使われるソフトやツールを提供することでこの市場を席巻していた。
そのプラットフォーマーとしての支配力の源泉は、コンピューター上で価値を生み出すソフトや、エンジニアたちの求める基礎技術や開発のためのツールを提供する企業として、極めて強い製品基盤を持っていたことにあった。
時代の変化に合わせた巧みな「ピボット」
さらに強みだったのは、時代の変化に合わせた「ピボット」が大企業とは思えぬほど素早く行えていたことだ。「Windows 95」のときにはインターネットへ素早く対応し、2000年に入るとアプリケーションソフトをコンピューター上で動かす時代から ネットワークサービスへとソフト開発の価値が大きく変わっていく節目を見事に捉えていた。
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