「アップル<マイクロソフト」と判断する大間違い 収穫期のMSと種まき機のアップルの違い
東洋経済オンライン / 2024年4月4日 7時30分
アマゾンやグーグルの台頭によって、マイクロソフトの事業ポートフォリオはやや古さを見せていたが、現在のサティア・ナデラCEOはマイクロソフトの強みを新しいクラウドの時代に見事に適応させた。創業者でもあったビル・ゲイツ氏が整えていた技術的な基盤を再構築し、クラウド、そしてモバイルの時代に適応させたのである。
事業環境の変化、技術的なトレンドへの追従も相変わらず的確で素早い。OpenAIへの投資をはじめ、大規模言語モデルへの取り組み、自社製品やサービスへの応用の早さなどは見事だ。
そして、同社の価値の源泉となっているコアな部分はほとんど変化していない。かつてはソフトを開発するエンジニアを支援することに長けていた同社だが、現在は、クラウドの中で同様の価値を提供し続けている。
こうした強固な事業基盤を持つ同社にとって、本格的なAIブームは追い風になることは間違いない。現時点でAIサービスがマイクロソフトの製品やクラウド事業の売り上げに貢献しているという事実はないが、将来的には極めて有望だ。
クラウド事業におけるAIサービスの売り上げ増加だけでなく、「オフィス」や開発者向けツールへのAIの活用や、WindowsへのAI技術組み込みなど、既存の製品やサービスをさらに拡充する布石が打たれ始めている。
アップルの強さの本質
一方、アップルはどうだろうか。事業モデルがまったく異なると書いたが、アップルの本質的な強みは突き詰めるとマイクロソフトと同じだ。
同社は魅力的なプラットフォームを作り出し、その上で新しい付加価値を作りたいと考えるエンジニアやクリエイターたちの夢を叶える仕組みを提供してきた。
それはMacであり、新しい音楽ビジネスの基盤となったiPodであり、携帯電話を小さなPCとして魅力的なプラットフォームにしたiPhoneである。ただ、あくまで製品のメーカーであるアップルは、マイクロソフトとは事業全体の構造や、付加価値を高めるための手法が違う。エンジニアやクリエイターを引きつけるための方法論や魅力に至っては、まったく異なると言える。
2007年の初代iPhone以降、世界中のクリエイターやエンジニアを引きつけることでアップル製品は輝き続け、ボジティブな投資サイクルができ、さらに洗練したハードを開発し続けることができた。近年はサービス事業の売り上げ増が業績面で評価されているが、それが可能なのはスマホ市場を支配しているからにほかならない。
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