若手の電話対応が「テルハラ」になる日本の大問題 海外では想定できない日本企業独特の問題に
東洋経済オンライン / 2024年4月4日 11時20分
では、テルハラ問題は今後どうなるのでしょうか。このことを考察するため、まず諸外国の状況を確認しましょう。
筆者の知る限り、日本以外の国では、テルハラという言葉はありません。そもそも無理やり電話対応をさせられた、という問題自体が存在しないはずです。なぜなら、日本以外では、誰かの代わりに電話したり、自分以外にかかってきた電話に対応するといった習慣がないからです。
アメリカなど多くの国では、誰が何をするという職務(ジョブ)が明確に決められています。過ちを犯した人が謝罪の電話をします。クレーム処理の担当者がクレーム電話に対応します。誰かの代わりに謝罪の電話をしたり、クレーム対応を任せられるということはありません。
また、職場ではデスクが個人ごとにパーティションで仕切られています。自分のデスクにかかってきた電話を取るだけで、他人の席の電話や代表電話を取ったりはしません。アメリカでは、他人のデスクの電話を取ると、「他人の仕事を横取りしようとした」と捉えられます。
とりあえず若い奴がやっておけ?
日本でテルハラが問題になっているのは、日本独特の働き方や人事システムの違いによります。日本では、職務が不明確なこと、年功序列の人事システムであることから、簡単な電話対応や誰が担当かはっきりしないことは「とりあえず若い奴がやっておけよ」となっているのです。
いま日本企業は、担当する職務を明確にして雇用するジョブ型雇用への転換を進めています。また、年功序列的な人事システムを見直そうとしています。こうした動きが本格化したら、テルハラの問題は解消されることでしょう。
逆に、もし数年後にもテルハラが問題になっているとすれば、働き方改革は掛け声倒れで、伝統的な働き方が変わっていないと見ることができます。テルハラは日本企業の働き方改革の成否を見る試金石と言えそうです。
日沖 健:経営コンサルタント
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