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Supreme新作を「買える人」「買えない人」本当の差 現在社会で早い者勝ちがもはや通用しない訳

東洋経済オンライン / 2024年4月4日 14時0分

依頼主は並び屋に払う金はあっても、並ぶ時間はない人たちだ。行列代行専門の小さなスタートアップ(Linestanding.com、Skip the Line、Washington Expressなど)は、もともと無料の席に6000ドルを請求することもある。一方、雨風や寒さの中で待ち続ける並び屋には最低賃金しか払わない。

Supremeの新作発売日に並ぶ行列代行の実態

行列代行業は、行列待ちの席を手に入れる方法をがらりと変えた。最高裁の傍聴席だけではない。国家の法律が議論される議会の公聴会もそうだ。公聴会も誰にでも開かれており、現役議員の論戦を間近に見聞きできる。

とはいえ今日では公聴会は弁護士やロビイストで埋まっていることが多く、その全員が誰かに代行料を払い、列に並ばずして席を手に入れている。同じことが、更新申請したパスポートを窓口で受け取る列や建築許可を地方当局で申請する列にも起きている。  

行列代行業は、いまや民間部門でも大繁盛だ。代行料を払う気さえあれば、iPhoneのニューモデルや、大人気のスケートボードブランド、シュプリーム(Supreme)の新作ウェアや、ブロードウェイのチケットに並ぶ列の先頭を確保できる。メイシーズの感謝祭パレードを見るニューヨークの路上の特等席だって手に入れられるのだ。

行列代行業のセイム・オール・ライン・デュードに雇われた並び屋の1人は、人気番組『シャーク・タンク』(起業家のプレゼンに対して投資家が出資の有無を決めるリアリティ番組)のオーディションに出るための行列に43時間並んだという。セイムの創業者ロバート・サミュエルのほうが、お金を払って並んでもらった起業家候補より起業家として優秀だったことはまちがいない。

ボットが瞬時にチケットを買い占める 

同様の現象はオンラインでも起きている。ミュージカル『ハミルトン』は、初演から何年も経つというのに、いまだにブロードウェイで売り切れ続きだ。ウェブサイトではチケットを通常の方法で、つまり早い者勝ちで販売している。

問題は、抜け目のないテック系の転売業者がコンピュータ・プログラム(事前に決められた処理を自動で実行するプログラムで「ボット」と呼ばれる)を開発し、発売と同時に一瞬でチケットを全部買い占めてしまうことだ。

その結果、ミュージカルの興行主や出演者はチケットの額面通りの金額しかもらえないのに対し、ファンのほうはプレミアムを上乗せされたチケットを転売屋から買わなければならない。チケット販売サイト、スタブハブなどでは、もとの何倍もの値段で売っている。

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