「だから新規事業は失敗する」ここが欠落した視点 「小さく賭け、ためらいなく修正」が正しい方法
東洋経済オンライン / 2024年4月5日 10時0分
このような「仮説」を「知識」に変えていく行動の目的は、「仮説」の外れがもたらす損失を最小化して、利益を最大化することである。マグレイスのいう「仮説」は、「金がかかってリスクも大きい絵空事」とは異なり、現実的にリスクに向き合って早く行動し、早く誤りを修正するためのものなのだ。
早く誤りを修正するメリットは、大きな損失を避けることだけではない。新たな事業機会に気づき、より高い戦略目標を追求する意思決定のタイミングを逃さないことも、大きなメリットである。
企業の成長は、基本的に新たな顧客と新たな製品・サービスによってもたらされる。つまり、成長を追求することは、仮説の割合がおのずと高まる状況になる。仮説の割合が高いまま事業を進めて大きな損失が生じることを避け、より高い戦略目標を追求するために、まず仮説を明確にし、そして仮説が実現するようにマネジメントすることが大事なのだ。
まず「仮説の明確化」から
近年、サステナビリティが注目されていることもあり、今から5年後のビジョン、あるいは2030年を見すえる計画といった中長期の財務目標を掲げる会社が増えている。だが、その財務目標を達成するために、どのような行動が実行されているかが、肝心である。社員には、「なんだか、高い目標だなあ」と他人事のように受け取られていないだろうか。
どのような目標であっても、具体的な行動が伴わないと意味がない。しかし、日々あれこれと多忙にかまけて、何をいつやったらいいかが、よくわからないうちに、気がついたときには手遅れになっている。
先ほど述べた「仮説」と「知識」の割合は、時間軸によって大きく変化する。目の前の業務はわかっていることが多いので「知識」の割合が高く、中長期の業務はわかっていることが少ないので「仮説」の割合が高くなる。「知識」の割合が高い業務のほうが、具体的な行動につながりやすいから、中長期の業務は先送りされやすいのである。
2030年に達成しなければならない中長期の財務目標に対して、今すぐに取り組むべきことは、仮説を明確にすることである。放っておけば手遅れになることを、私たちはもうわかっている。
このような中長期の取り組みに対して、アマゾンの創業者のジェフ・ベゾスはこう語っている。
「私は、2~3年の時間軸ではなく、5~7年の時間軸で考えるように、すべての人に指示している」
「これは、人間にとって自然なことではない。これはあなたが徹底しなければならない規律である」
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