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「だから新規事業は失敗する」ここが欠落した視点 「小さく賭け、ためらいなく修正」が正しい方法

東洋経済オンライン / 2024年4月5日 10時0分

中長期の目標達成には、財務目標を設定するだけでなく、まず仮説を明確にすることが大事である。しかも、目の前のことを優先せずに、中長期の目標達成に取り組むためには、「規律の徹底」が欠かせないことをジェフ・ベゾスは述べている。

なぜ経営陣が「よくわかった」と言わないのか

製造業大手のA社の経営陣は、新型コロナの影響で海外事業の事業環境が大きく変化したため、事業の選択と集中が必要と考えていた。経営陣から事業戦略の修正を指示された事業部では、新たな戦略を検討したものの、財務数値中心の予測となり、経営陣にリスクをうまく伝えることができずに困っていた。

事業部の説明に納得しない経営陣は、「事業部が示していないシナリオと、重要仮説を知りたい」という新たなリクエストを経営企画部に出した。

経営陣のリクエストに応えるために、A社の経営企画部は2カ月ほどの期間で新たな事業戦略の重要仮説の分析を行い、複数のシナリオと、それぞれのシナリオの重要仮説を報告した。報告を受けた経営陣からは、「よくわかりました」とフィードバックがあった。

その後、A社の経営陣は、この事業への追加投資を決定した。実は、追加投資を実行する戦略は事業部から説明されていたのだが、その時点では、具体的な行動に至らなかった。売り上げや利益等の財務目標を示されても、どうしたらその目標を実現できるのか、経営陣が腹落ちできなかったからである。

リスクテイクを伴う事業戦略は、関係者が相当強く腹落ちしないと、実行されない。この事例では、関係者の腹落ち感を高めるために、重要仮説の明確化が役立った。仮説は、戦略目標を達成するために何をすべきか、という具体的かつ低リスクの行動指針を示す。

実現すべき重要仮説が合意されたことが、事業環境の変化に対する具体的な行動を引き起こしたのである。A社は2023年3月期に最高益を達成したが、本事業はさらなる成長を予測している。

愚直に質問を重ねるしくみ

社会インフラ企業B社では、自由化によって主力事業がいずれ儲からなくなることが経営課題となっていた。そこで、主力事業以外の事業を立ち上げることを経営ビジョンとして打ち出した。

この経営ビジョンは緊張感に満ちたもので、B社の社員は自分たちの生き残りがかかっていることを理解した。しだいに新事業の提案が経営陣に示されるようになり、そこまではよかったのだが、大きな問題に直面した。

その問題は、経営陣が既存事業の経験しかなく、新事業を理解できないことだった。「おもしろそうな提案だけど、よくわからないね」という状況に陥ったのである。既存事業なら、これぐらい成功しそうだな、と経営陣が想定できるのだが、それができない。困ったB社の経営陣は、今まで以上に提案部署の意見をよく聞いてみることにした。

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