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菅義偉氏「派閥問題」で沈む今の自民党に思うこと 完全無派閥の前首相が国民の自民党離れに危機感

東洋経済オンライン / 2024年4月5日 8時30分

それと、私はカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現にいつか取り組みたいと思っていたんです。総理になって初めての国会での所信表明演説で、各方面の抵抗を気にせず、「2050年カーボンニュートラル」宣言を出しました。

塩田:2020年10月、政権担当後、初の臨時国会で、成長戦略の柱に経済と環境の好循環を掲げて宣言した2050年のカーボンニュートラルは、50年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするという内容で、脱炭素社会の実現を目指すと打ち出しました。

菅:世界の潮流の中で日本が出遅れて、ルールを決めるときに先頭に立って参加できなくなるのを一番、心配していました。そこは間に合ってよかったと思っています。口だけでなく、政府の本気度を示すため、研究開発とか実証実験のために2兆円の基金を作りました。それで今、日本でも、これから先の主流になるいろいろな技術の研究開発や実証実験に企業が本腰を入れるようになってきた。その中で、車もガソリンから電気にとか、水素とか、ようやくそういう動きになってきました。そして、再エネの中でも成長が期待される洋上風力は、再エネ海域利用法に基づくプロジェクトが、8海域・350万キロワット規模でスタートしています。

〈編集部・註 菅内閣時代の2020年12月、政府は日本の洋上風力発電の導入目標を大幅に引き上げて、2030年までに1000万キロワット、2040年までに浮体式洋上風力発電も含めて3000~4500万キロワットを導入目標とすると打ち出した〉

塩田:もう一つ、菅内閣での取り組みでは、デジタル庁の創設があります。庁新設を決め、2021年9月1日に発足しました。

デジタル重視がTSMCの九州誘致につながった

菅:これは2020年9月の総裁選で「1年でデジタル庁を作る」と約束して、そのとおり実現しました。実は、霞が関を見渡すと、国全体のデジタル化を進めるための司令塔機能がなかった。コロナの大流行が発生したとき、陽性者の数を迅速に集約することができなかったり、コロナ対策で現金給付を行うときも時間がかかったり、いろいろ支障を来しました。これを見て、全体のシステムを見直すために、司令塔としての機能を持つデジタル庁を作るべきだ、と思っていました。

デジタル化に関しては、ほかに半導体の問題があります。今、世界最大の半導体メーカーのTSMC(台湾集積回路製造)が熊本県菊陽町に工場を造っていますが、半導体は社会全体のデジタル化にとって、必要不可欠なんです。日本は1980年代、この分野で世界を席巻していましたが、1990年代になってどんどん世界でのシェアを失い、8割が輸入となった。私の内閣で、半導体については国が前に出て対応することを閣議決定しました。そして、TSMCの1号と2号の九州誘致に成功した。今、九州全体の景気が底上げされるくらい、経済効果が出ているみたいですね。

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