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NHK「1000億円削減」とコンテンツ拡充の大矛盾 「6つのニュースサイト、突然閉鎖」の背景とは

東洋経済オンライン / 2024年4月5日 12時10分

民放業界の空気がはっきり変わったときだった。大手広告代理店も含めて180度の勢いで物事の考え方が変わった。余計な出費は避け、やたらとあった接待はなくなり、会社によっては給与体系が変わった。深夜のタクシー帰宅に数名での同乗を推奨するようになった会社もある。その後、テレビ局がネット活用に舵を切るきっかけにもなった。14%の減少はそれくらいのインパクトをもたらす。

今回の経営計画は3年間なので2027年度はその先だ。そこでやっと収支均衡というが、2027年度への1年で425億円下げることになっている。その前は128億円、257億円、139億円ずつの減少なのに、計画の後の1年に残りを強引に負わせている。大丈夫なのかと心配になってくる。

ただし、NHKには「実績」がある。事業支出は2019年度に7279億円とピークを迎えたが、その後2021年度までに615億円減らして6664億円になった。「やればできる」ということだろうか。

だが2019年度以降の実績値と、今後の予算を並べてみるとやはり心配になる。

まず2022年度までは収入が減りつつもそれに合わせて支出を減らし、赤字にはなっていない。ところが2023年度はまだ見通しだが赤字。さらにその後も2026年度まで毎年赤字が続いて、2027年度に突然トントンになるのだ。どこか都合が良すぎる予算だ。しかも稲葉会長の任期は2026年の1月まで。このところ何代もの外部から来た会長が3年ごとに代わっている。2027年度にトントンになるかどうかについて、稲葉会長は責任を取れない可能性が高い。

さらに、2019年度以降2027年度までの8年で見ると、1500億円以上支出が減ることになる。20%もの減少は、現実的だろうかと言いたくなる。

長期的視点で運営する人材の欠如

NHKはよくガバナンスに問題があると言われる。それは子会社が多いなど外形的なことについてだが、もっと大元に問題があるのではないか。

何しろ会長が外から来て3年ごとに交代する。そして会長が変わると理事たち執行部も一新される。3年ごとに組織の頭脳がすげ替えられるのだ。前田前会長から稲葉現会長に代わった時は、前田氏が旗を振った改革派が一掃され、反改革派が権力を握った。人事や組織、そしてネット戦略まで何もかもが180度変わってしまう。

普通の会社でもトップが変わると体制も変わるものではあるが、変化が極端すぎる。長期的な視点で運営する人がいないのだ。そんなことも踏まえてさっきのグラフを見つめると、不安しか湧いてこない。少なくとも「2027年度に収支均衡」の予算に責任を取るべき人物は、現執行部にはいないだろう。

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