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あの「ミキモト」イメージがガラリと変わったなぜ 業界も驚いた斬新なコラボが契機になった

東洋経済オンライン / 2024年4月5日 11時20分

ミキモトが前に向かって挑戦している、時代を拓いている、そういうイメージを醸成することができたという。以来、3年以上にわたって両者のコラボレーションは続いている。ブランドのコラボというと、意外性や新奇性を狙った短期的なものが大半を占めるが、これはそうではない。互いのブランドの強みを尊重しながら、フラットなかかわりを築き、ともに進んできたという。

コラボの収穫は「新たな価値観」を提供できたこと

コラボレーションの成果として何より大きかったのは、流行の先端をいく商品という一過性の提案ではなく、ジェンダーレスでパールのネックレスを身に着けるという価値観そのものを提案できたこと。それによって、ブランドイメージは確実に高まった。

この時期はちょうどコロナ禍と重なっていた。身に着けて自己表現する、人が集う場で華やかに輝くのがジュエリーの本来的な価値の1つ。コロナ禍はそこをそっくり奪ってしまった。

「厳しい状況が続きましたが、一番悪い時でも年間で一定の売り上げがあったのです。支えてくれるお客様のためにもがんばらねばと、前に進む気持ちになれました」(中西さん)。コロナ禍が1つのバネになり、新しいことにチャレンジできた。厳しい時期に、いや、だからこそ未来に向けた投資を行ったことが、今にいたる道を築いたのだ。

昨年11月3日、「ラッキー アローズ」という新商品が発表された。謳われているのは「幸運のシンボルである“矢”をモチーフにしたジュエリーコレクション」。矢を放射状にあしらい、マザーオブパール(真珠の母貝)とダイヤモンドを散りばめてある円形のモチーフが、ペンダントやブレスレット、ピアスなどでデザインされている。

「弊社には1937年のパリ万博の時、大きな“矢車”をかたどったジュエリーを創って出品した歴史があり、以来、アイコンになっているもので、それをモダンに昇華させたのです」(中西さん)。長く愛され、使い続けられるロングセラーとして、これからのミキモトの顔となる存在にしていきたい。それくらいの思いを込めて世に送り出したという。

イメージビジュアルも斬新で、人種や性別、年代の異なる4人のモデルが「ラッキー アローズ」を身に着けている。表情や身体の動きと呼応して「ラッキー アローズ」が煌めき、それぞれの人としての個を引き立たせている。モノクロの画像に、ピンクのロゴのコントラストがチャーミングな印象を与えている。発表以来、着実な手応えを感じているという。

「変えてはいけないこと」と「変えていくこと」

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