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妖精に扮す社長が売る「国産きくらげ」の希少価値 箸を持つ手が止まらない「きくらげラー油」

東洋経済オンライン / 2024年4月6日 12時30分

「きくらげのことを知れば知るほど魅力を感じました。そして、障害のある方の工賃を少しでも上げたいという思いもあって、4年前にハウスを作ってきくらげを栽培したのがはじまりです。当時小学生の長男と長女に『きくらげで日本一になる!』と宣言したことを今でも覚えています」(喚田さん)

喚田さんがもっともこだわったのは、きくらげの品質。広葉樹のおがくずやふすま粉、米ぬかや大豆の胚芽など国産の原料を自ら仕入れてオリジナル配合の菌床を仕込んでいる。温度や湿度、二酸化炭素の濃度などを徹底管理されたハウスで60日間かけて菌を培養し、さらに30日後にきくらげの芽が出てきて、成長したきくらげを少しずつ丁寧に収穫している。安心・安全を考えて、農薬はいっさい使っていないため、ハウス内に虫が発生してすべての菌床を処分したこともあったという。

「障害のある方が作っているというストーリーではなく、クオリティの高いきくらげを作っていることを前面に打ち出していきたいと思って、2021年に『木耳のお店』を設立しました」

きくらげの妖精“けっぴー”誕生秘話

ところが、地元で開催されているマルシェなどのイベントに出店しても、思うように売り上げが伸びない日々が続いた。きくらげの栄養価の高さをいくら語っても、立ち止まって話を聞いてくれる客はいなかったのだ。かつての筆者と同様に、日常生活の中できくらげを意識している人はほとんどおらず、喚田さんは自身との温度差を目の当たりにした。

そこで喚田さんはきくらげを使った写真とレシピをインスタグラムなどSNSで発信し続けた。さらに、目立たないきくらげの存在を目立たせるため、自身が広告塔となってきくらげをPRしようと考えた。きくらげの妖精、けっぴーの誕生である。

「2021年3月の満月の夜、母・恵子が月を見ながら両手を空高く挙げて突然叫び出し、そのときに口の中からプルンプルルンっと生まれたのが、きくらげの妖精。けっぴーです。母の厳しい英才教育でけっぴーはスクスクと育ち、きくらげのことを多くの人々に知ってもらおうと東三河を中心に全国を飛び回っています」(喚田さん)

きくらげをイメージしたアフロヘアとインパクト十分な丸メガネ、そして目がチカチカするショッキングピンクの衣装がけっぴーのトレードマーク。全身ピンクは林家ペー・パー子夫妻だけではなかったのだ(笑)。

イベント会場にけっぴーが現れると、これまで素通りされていたのが嘘だったかのように多くの人が集まり、スマホのカメラを向ける。きくらげを購入して、一緒に写真を撮った客がインスタグラムに載せたのを機に、けっぴーの知名度はどんどん高まっていった。

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