岸田首相、裏金議員に「甘すぎる処分」で墓穴掘る 際立つ「ご都合主義」で"内ゲバ"、政権危機拡大
東洋経済オンライン / 2024年4月6日 8時30分
これを受け岸田首相(自民党総裁)は4日午後7時半過ぎ、首相官邸で記者団の取材に応じて、経過を説明。まず、改めて裏金事件について「党総裁として心からおわびする」と陳謝。関係者が立件された宏池会(岸田派)の会長だった岸田首相自身を処分の対象としなかったことについては、「首相個人としての不記載がなく、岸田派としての不記載も事務の『疎漏』が原因だった」と釈明した。
自らの政治責任については「今後、先頭に立って政治改革に全力で取り組むのが総裁の責任。そのうえで最終的には国民、党員の皆さんにご判断いただく」と述べ、解散断行による衆院選や党総裁選による決着を示唆。これは、岸田首相が「破れかぶれ解散」の可能性をにじませて党内を牽制したと受け止める向きが多く、党内外に波紋を広げた。
その一方で岸田首相は、過去に清和政策研究会(現安倍派)の会長を務め、「裏金事件のキーマン」とされてきた森喜朗元首相については、「私の判断で(直接電話で)聞き取りを行った」ことを明かした。ただ「(森氏の)具体的な関与については確認できていない」と語っただけで、聞き取りを行った日付や具体的なやりとりは明かさず、不透明感ばかりが残った。
また、処分決定までの党執行部内での協議では、岸田首相と麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長、森山裕総務会長の間で意見が対立。特に、二階派の武田氏の処分を巡り、同氏と政治的に敵対する麻生氏が「離党勧告」を強く主張したが、「最終的に“首相裁定”での甘い処分で決着した」(党幹部)とされる。
その背景には「政界引退を表明した二階氏を処分なしとし、それに合わせて武田氏も軽い処分とすることで、岸田首相自身の政治責任も逃れる思惑があった」(安倍派幹部)との見方が多く、「それが自民党内に反発を広げる要因」(同)となったのは否定できない。
離党した世耕氏、「衆院くら替え」断念せず?
そうした中、最も重い「離党勧告」という処分を受けた世耕氏は4日夜、党執行部に離党届を提出、直ちに受理されて自民党を離党した。その際同氏は記者団に対し「国民に大変大きな政治不信を抱かせることになり、心より深くおわびしたい。離党勧告が出されたことを受けて、政治的責任を取って自民党を離党することにした」と語った。
そのうえで同氏は「今後は、議員としての仕事を一生懸命やることに徹したい」と議員辞職を否定。記者団から「衆議院にくら替えして立候補する意向はあるか」と問われると「1日1日議員活動を懸命に務めていくということに尽きる」と答えるにとどめた。ただ、同氏周辺は「選挙に自信を持つ世耕氏は、無所属になっても衆院くら替えの意思は捨てていない」と漏らすなど、政敵の二階氏との確執はなお続きそうだ。
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