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道長が「試験官を監禁」改ざん迫る呆れた行為 兄である道兼の息子たち3人も次々とやらかす

東洋経済オンライン / 2024年4月7日 7時50分

源朝任や藤原兼貞ら5名とともに、蔵人に暴行を加えている。それだけではなく、節会で踏歌を行う女性らが使用するはずだった簪や櫛を取り上げてしまい、謹慎処分をくらっている。

試験結果の改ざんを迫った藤原道長

息子たちの粗暴さを思えば、やはり道兼も乱暴者だったのかも……と思えてしまうが、どちらかというと、やらかしているのは道兼の弟、藤原道長のほうである。23歳で権中納言になり、出世の足掛りをつかむと、早々と事件を起こしている。

当時、道長には、どうしても官人にさせたい人物がいた。そのためには、官人採用試験で良い成績をとらなければならなかったが、道長が目をかけた受験生の試験結果がどうにも振るわなかったらしい。すると、道長は式部省に目をつける。

式部省とは、官人の採用や評価を職務とする機関で、官人採用試験も取り仕切っていた。道長は、使者たちに命じて、式部省で働く試験官の橘淑信を自宅に拉致。監禁状態にして、試験結果を改ざんするように迫ったというから、メチャクチャである。

そのうえ、道長は橘淑信を自分の足で歩かせている。罪を犯して連行されるときでさえ、牛車に乗せるのが慣例だった貴族にとって、自分の足で歩かされることはこのうえない屈辱だった。橘淑信は、道行く大勢の人たちの前で辱められることとなった。

拉致脅迫事件は世間にすぐに広がる

この拉致脅迫事件は、すぐさま世間に広がった。道長は父の兼家から、叱責を受けることとなったという。

道兼の子どもたちがそろいもそろって乱暴者だったと聞けば、大河「光る君へ」を観ている人ほど「さすが道兼の子どもだけあるな……」と思ってしまうが、当時の人々からは「さすが道長の甥っ子だけあるな……」と呆れられていたのではないだろうか。


【参考文献】
山本利達校注『新潮日本古典集成〈新装版〉 紫式部日記 紫式部集』(新潮社)
倉本一宏編『現代語訳 小右記』(吉川弘文館)
今井源衛『紫式部』(吉川弘文館)
倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社現代新書)
関幸彦『藤原道長と紫式部 「貴族道」と「女房」の平安王朝』 (朝日新書)
繁田信一『殴り合う貴族たち』(柏書房)
真山知幸『偉人名言迷言事典』(笠間書院)

真山 知幸:著述家

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