株価爆上げ「さくらインターネット」が描く勝ち筋 田中社長「ガバクラは"足がかり"でしかない」
東洋経済オンライン / 2024年4月8日 7時20分
――将来的に、ガバクラ提供事業者に正式に採択されると、今後は自治体などへの実装に課題が移ります。さくらのクラウドが使われるためには、これまで行政のシステムを運用していた既存ベンダーとの連携や協力が不可欠となります。
もともとベンダーと付き合わず直販がメインだったので、たしかにそこがわれわれの弱いところだ。とはいえ、ベンダーを入れずにやっている自治体も少なからずあるので、そういう自治体がまずはターゲットになる。
大きな自治体の既存ベンダーがAWSなどを担ぐのは仕方がないが、「さくらのクラウドで」とチャレンジするベンダーもいる。実際に声がかかるケースも増え、一緒に提案する事例も生まれている。
われわれにとってはゼロからのスタートなので、まずは全体の1%でも2%でも取れればいい。もちろん、10年単位で見た先では3~4割は取りたい。ガバクラをやれるサプライチェーンとパートナーエコシステムがあれば、エンタープライズ(企業向け)にも入れる。
ガバクラを「だし」にして、機能強化を行ったり、エコシステムを創造したりして、顧客範囲を一気に広げる戦略だ。ガバクラは、あくまで“足がかり”でしかない。
外資系にはない柔軟さと信頼で戦う
――国内市場でもAWSなどの外資勢が圧倒的な存在感を見せる中で、さくらのクラウドは何が強みになるのでしょうか。
機能面でいうと、明らかに外資系のほうが強い。ただ、GPUクラウドに関しては、国の支援を受けている背景はあれどもコストパフォーマンスは高い。われわれは日本市場のために優先的に供給しているから、供給規模が増えれば増えるほど、日本のユーザーは他国よりもGPUを手に入れやすくなる。
一方、アマゾンは日本に2兆円とか投資しているが、グローバル企業はGPUをどこに供給するかを地政学的に判断するので、日本の調子が悪くなったら来ない可能性もある。
さらにアメリカのベンダーだと開発者と直接話をするのが難しいが、当社だと開発に対する顧客からの要望に柔軟に対応しやすい。急な円安で値上げされる懸念などもあり、基盤コストに対する信頼性をどう担保していくかという問題もある。
ガバナンス面でみても、国の方向性に対して、海外の会社は言うことを聞かない可能性がある。「さくらの発展=日本の発展」になる会社だからこそ、お客様も情緒的に使いたいって言ってもらえるところもある。
――一方で、富士通やNECのような既存の大手ベンダーなどは、積極的にガバクラの提供事業者を目指そうという意欲が薄いようにも感じます。理由をどうみていますか。
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