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株価爆上げ「さくらインターネット」が描く勝ち筋 田中社長「ガバクラは"足がかり"でしかない」

東洋経済オンライン / 2024年4月8日 7時20分

儲からないからだと思う。

すでにSIビジネスの売り上げが大きいと失うものが多いから、そこを減らすわけにいかない。国内ベンダーは、メーカーや通信キャリア系の会社が多く、短期的な収益を求める傾向が強い。どちらかというと、ニーズが多く、短期的な顧客の問題を解決して、しっかり稼げるコンサルをやったりしている。

われわれは目先では儲からないけど、10年単位の中長期で儲かるクラウドインフラの分野に着目した。どちらが正しいということではないが、うちと同じ選択をする会社は、世界中をみてもそんなに多くない。

かつての日本企業は人を抱えながら設備投資をしっかりして、利益率は低くても世界中を席巻する成長をしていたが、多くの会社は目先で利益を出し、できるだけアセットや人を抱えないことを考えるようになった。デジタルインフラの時代にそれをやる会社はGAFAMくらいで、われわれはそれを日本でやっている。

「株主資本主義」では勝てない

――市場では、PBR(株価純資産倍率)やROE(自己資本利益率)といった経営指標の改善を求める声も多いです。短期的な成果が見えづらい投資を続けるのは、大変な面もあるのでは。

「株主資本主義」は短期的には利するが、中長期では勝てない。アクティビストが世界で2番目に活躍しやすいのは日本との話もあるが、「誰がそんな日本にした」という憂いがある。

成長するセクターに大胆に投資し、一時的に利益が減っても、その後の売り上げが3倍にも5倍にもなる絵を描き、中長期で株主を利する行動を取る経営者のほうがいい。

2005年に会社が上場し、2007年に債務超過になった後の3年は自分も株主の顔色をうかがいながら経営していて、ROEやROA(総資産利益率)、PBRの改善をやっていた時期もあった。でも、「違うな」と思った。

それで2011年に、利益を大幅に減らしながらも(クラウドに最適化された日本最大級の郊外型データセンターである)石狩データセンターに投資するチャレンジをして、2014~2015年くらいから本格的に成長路線に戻そうとした。そのときにブロックチェーンに取り組んだら、急に「ブロックチェーン銘柄」になって株価が急騰したこともある。

世の中の流れの反対に向かうのは精神力も必要だ。そうした判断ができるのは、僕自身が”起業家”だからなのかもしれない。20年の長期政権で社長をやる中で、目先で少々悪くなっても、10年で大きな成長をさせればいい、という感覚がある。

茶山 瞭:東洋経済 記者

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