丸亀製麺のトリドール「ラーメン」で中国に再挑戦 実はうどんの"捲土重来"もあきらめていない
東洋経済オンライン / 2024年4月8日 12時0分
「味千など大衆的なラーメン店の1杯の価格は30元(約620円)台で、日本の著名店が上海で展開するラーメンは1杯45~50元(約940~1040円)。ずんどう屋は味千に近い価格で、10時間炊き上げた豚骨スープと素材にこだわった麺を使った本格的なラーメンを提供する。手ごろな価格でプレミアムな体験という日式ラーメンの空白地帯にポジショニングすることで100店舗は短期間に実現できる」(杉山氏)
丸亀製麺が期待通りに出店が進まなかったことを教訓に、トリドールは中国市場でのずんどう屋の展開において、上海睿筧にマスターフランチャイズ権を付与した。
トリドールは商品の品質や体験価値の維持に専念し、中国での外食フランチャイズのノウハウを持つ現地チームに立地選定や現地に合わせたメニュー展開などを委ねることで、スピード感のある拡大を目指すという。
中国の不況は追い風
気になるのは、トリドールの看板ブランドで一度中国から撤退した丸亀製麺の再進出の可能性だが、杉山氏は「丸亀製麺は最近進出したカナダでも非常に好調で、うどんもグローバルで十分に展開できると考えている。中国では消費者が体験価値を重視するようになり、蘭州ラーメンのような大衆ローカル麺でもブランディングして少し高い価格で規模拡大に成功した事例が出ている。ずんどう屋をはじめとした中国の消費者に受け入れられやすい業態でノウハウを蓄積し、時代にあった展開のしかたで再挑戦したい」と意欲を見せた。
中国は景気低迷が長期化し、消費マインドも悪化しているが、「丸亀製麺がリーマンショックでも業績を伸ばしたように、トリドールは景気耐性が強い業態を多く抱えている。景気が悪くなると消費者は価格に敏感になり、コスパの高さをより評価するようになる」と、不況が追い風になると自信を見せた。
浦上 早苗:経済ジャーナリスト
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