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AIとアルゴリズムでは及ばない"投資"で勝つ秘訣 投資に関してAIは人間の認知能力に追いついてない

東洋経済オンライン / 2024年4月9日 15時0分

宇根:そうです。3000社ぐらいはもう野放しになっていて、企業の正しい価値が算定されてない状況です。しっかりとお話を伺えば、「この会社は伸びるかもしれない」「この会社はちょっと伸びづらそうだな」と会社の全容が見えてくることがあるんですね。だから、愚直に年間2000回から3000回ほど事業会社と面談させていただいて、事業モデルや業界のトレンドを理解していく方針を取っています。

後藤:かなり地道な活動ですね。

宇根:今後、上がってきそうな銘柄をできるだけ多く見つけて、できるだけたくさんの投資アイデアに分散投資していったら、もしかしたら儲けられるかもしれない。実際にそういったファンドで、なかなか表には出てこないけれども儲け続けているファンドさんもいらっしゃると感じたので、実践してみることが、私たち独自の一つのエッジの出し方なのかなと思っています。

後藤:アルゴリズムやAIとは真逆の原始的な世界ですね。

宇根:そうですね、おっしゃる通りです。言い換えれば、人間の認知能力は素晴らしくて、まだまだAIは追いついてないですね。この間、AIに「債券は今買いですか?」と聞いてみたら「債券はリスクがありますので……」と、教科書のようなことしか返ってきませんでした。

それに対して、株でも投資をしようかなと思う時に、会社説明会に行った時の経営者の顔色や声のトーン、出席してる人たちの人数や顔色までは現段階ではAIで読み取ることはできません。現場に行った人間の情報処理能力とそこから感じる熱量みたいなものから生まれてくる投資アイデアはまだまだ差別化要因になると考えています。

ただ、一人の人間が1000社以上の会社すべてを見ていくことはできないじゃないですか。ファンドのパフォーマンスを安定的かつ好成績にするためには、多数の投資アイデアに分散投資したいと考えており、足で稼ぐなどして情報収集し、投資アイデアをひねり出せる人間を何人か配置して、アイデア数を増やしていくことが重要かなと思います。一人であってもある程度稼げる可能性はあるんですけど、投資のアイデアが限られてしまって失敗する可能性もあります。

人間の強みを引き出し、弱みをカバーする

たとえば、一人でやると、投資アイデア数が多くは出せないので一つ一つの投資のアイデアの成功・失敗によってポートフォリオ全体のPL(損益)がブレるんですよね。何人かでやると、投資アイデア数が増やせるのでブレが相殺されて、PLが安定化するんですよ。

そうすると人間の能力の良さを引き出しながら、人間の弱みである情報処理能力の機械対比の低さを補うことができるので、機械に勝てる可能性が高まる、と考えています。

後藤:あえて人間的な取引の仕方を重要視されているんですね。定量的な、機械的な投資戦略を採用なさると考えていました。

宇根:かつてそういった(定量的な)手法をやろうと思ってもうまくいかずに挫折したんですよね。ましてや今はインベストメントLabという小さな組織を作って少ない資本で設備投資がそれほどできない中で、どうやって機械(大規模な設備投資をして計算環境を整えた定量的手法を用いる大手ファンドなど)に勝つか。我々の組織に揃ってくれた人材にやる気があるのであれば、人の認知能力を応用する手法が一番いいのかなと。

後藤 達也:ジャーナリスト

宇根 尚秀:インベストメントLab株式会社代表取締役

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