中国新興EV「小鵬汽車」、利益率急降下で募る焦り 2023年の粗利率1.47%、前年比10ポイント低下
東洋経済オンライン / 2024年4月9日 18時0分
中国の新興EV(電気自動車)メーカー、小鵬汽車(シャオペン)の業績に黄信号が灯っている。
【写真】2023年10月の技術イベントに登壇した小鵬汽車の経営トップの何小鵬氏(同社ウェブサイトより)
同社は3月19日、2023年の通期決算を発表。同年の売上高は306億8000万元(約6405億7700万円)と前年比14.2%増加したが、伸び率は2022年(28.0%)の半分に減速した。一方、純損益は103億8000万元(約2167億2700万円)の赤字で、損失額が前年比13.6%拡大した。
小鵬汽車の苦況を象徴するのが利益率の悪化だ。2023年の通期の粗利率はわずか1.47%と、前年より10ポイントも急落した。同社のライバルで業績好調な理想汽車(リ・オート)の2023年の粗利率が22.2%、伸び悩みが伝えられる蔚来汽車(NIO)でも同5.49%だったのと比較すると、その差は歴然としている。
年20万台の目標達成できず
業績低迷の主因は、2023年6月末に発売した新型SUV「G6」の量産立ち上げに(部品調達の問題などで)手間取ったことにある。G6の生産は同年9~12月期にようやく軌道に乗り、同四半期の小鵬汽車の販売台数は約6万台と四半期ベースで過去最高を記録した。
しかし7~9月期までの納車遅延が響き、通年の販売台数は前年比17%の増の14万2000台と、目標の20万台に遠く及ばなかった。
さらに気がかりなのは、2024年に入って小鵬汽車の販売が失速したことだ。同社が公表した月次販売速報によれば、同年2月の販売台数は4545台にとどまり、前月より4割以上も減少した。
2月の販売台数の急減は、2024年の春節(中国の旧正月)が2月中旬だったため、(春節が1月後半だった)2023年に比べて営業日が少なかった影響が大きい。それでも、2月のG6の販売台数は1500台に届かず、蔚来汽車の「ES6」などの競合車種に逆転されてしまった。
G6の販売の変調は、中国の自動車市場でメーカー間の価格競争が激化し、相対的な割安感が薄まった影響が大きい。
「2024年の価格競争はますますエスカレートするだろう」。小鵬汽車の創業者で董事長(会長に相当)を務める何小鵬氏は、決算説明会でそう危機感をあらわにした。
同社は販売失速に歯止めをかけるため、販売ルートの拡大を急いでいる。2023年には中国各地の160社以上の自動車ディーラーと代理店契約を締結。2024年7~9月期中に全国の販売店数を600店に増やし、(これまで手薄だった)地方都市での販売を強化する。
法人向けサブブランドを投入
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