「失言しても許される」"暴言首長"の命運分ける差 なぜ泉元市長は許され、川勝知事はダメなのか
東洋経済オンライン / 2024年4月9日 12時0分
「失言」が騒動となっている静岡県の川勝平太知事が、4月10日にも辞表を提出する見込みとの報道が出ました。
ことの発端は4月1日、川勝氏が静岡県の入庁式で職員に対して「野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかと違い、皆さまは頭脳、知性の高い人たち」だとスピーチしたこと。この失言は猛烈な批判を浴びて、翌日には辞職を表明しました。
炎上社会の現代は、言葉遣い一つで身を亡ぼすことにもなりかねません。なぜ政治家や経営者などの舌禍はなくならないのでしょう。また、自らの発言が意図せず批判を浴びたときはどうすべきかを考えたいと思います。
「暴言首長」といえば…
舌禍と言えば思い出されるのが、自らの発言で2回も市長職を辞した泉房穂元明石市長。職員への恫喝的な激しい叱咤や、市議会での脅迫発言など、のちに「暴言市長」とタイトルに入った評伝が出版されるなど、川勝知事が注目を浴びるまでは“暴言首長”といえば泉氏が有名でした。
パワハラ行為にはひときわ厳しい批判が集まる昨今、泉氏の暴言が報道されたときには激しくバッシングされました。一方で、明石市政での泉氏の実績評価は高く、1回目の辞職後には市長選挙に再出馬したところ、圧勝するという世論の支持を受けたのです。しかしながら、自らに対する問責決議をめぐって再び暴言を吐き、辞職したという経緯があります。
再度の暴言での辞職後も、泉氏の推薦を受けて後継者となった丸谷聡子氏が圧勝して市長に選出。泉氏は退いても世論の支持を受ける珍しい存在といえます。
東大出の弁護士であり、元衆議院議員でもある超エリートの泉氏ですが、実はそれほど裕福ではない漁師の家に生まれ育ち、県立高校から東大へと進み、猛勉強の末学費免除を勝ち取った苦労人だと明かしています。そういった生い立ちがどことなく憎めない雰囲気や人柄に表れているように思います。
最近はバラエティ番組などでも見かけるようになったくらい、失言で失職した首長とは思えないほど引っ張りだこ。4月6日には、多くの人気タレントを擁する芸能プロダクション「ホリプロ」に所属したことを、自身のX(旧ツイッター)にて発表しました。
一方、今現在、多くの批判を浴びている川勝知事。早稲田大学政経学部卒でオックスフォード大学からPh.D.(日本でいう博士号)を取得、早稲田大学教授、静岡文化芸術大学学長と華々しい経歴を重ね、静岡県知事に就任しました。
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