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倒産急増「日本のパン屋」が抱える特殊な問題 消費者にとっては嬉しいが、店にとっては負担

東洋経済オンライン / 2024年4月9日 11時30分

一方で、若手オーナーや新規参入者が、時代のニーズをつかんだ商品構成や店の構えで人気になる店を作る、あるいは、ロス率を減らす工夫を凝らす店が出てきている。ブームにあやかろうとした新規参入者や、変化することで失敗を恐れる老舗が、時代から取り残された可能性も否めない。

ここに、パン屋倒産が相次ぐもう1つの理由が見える。老舗にせよ、新規出店にせよ、町に愛される努力をし続けない個人店は定着が難しい。商品の質はもちろん、ハード・ソフトのどちらかあるいは両方の問題で店の雰囲気が悪くても、客離れは起こりやすい。

客離れを恐れ、コストの上昇を価格転嫁できない店も多いと思われるが、それでは持続可能な商売にならない。例えば店頭に張り紙をして説明するなど、価格上昇を認めてもらう努力はしているだろうか。ふだんから客とコミュニケーションをしていてファンが多い店なら、コストに見合った販売価格のアップはできるはずだ。

パン屋も「変化」を求められている

こうして分析してみると、パン屋の倒産ラッシュは、変化に対応できない店が淘汰されている現象と言えなくもない。総務省家計調査による2人以上世帯のパンの消費金額自体は、2010年以降上昇傾向にあり、パン自体の人気は今もあるからだ。

消費者の目は厳しいが、インフレが必要な時代になったことも理解されてきている。インフレは、消費者であると同時に働く人でもある皆が、必要としているからだ。

時代に合った質と価格を提供すべく、パン屋も発想の転換を求められている。そして、消費者である私たちも、価格上昇を受け入れなければならないだろう。

阿古 真理:作家・生活史研究家

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