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高円寺「小杉湯」が原宿に進出までの紆余曲折 4月開業の東急プラザ「ハラカド」も入浴料520円

東洋経済オンライン / 2024年4月10日 13時0分

自宅の風呂が普及した現代において、生活に必須とは言えなくなった銭湯は、存続をかけて需要の喚起を模索しなければならなくなった。小杉湯では先代から、地元のヨガサークルなど、地域の集まりに営業時間外の場所を提供し始めている。

イベント要素を盛り込んだ

3代目から始めたのが、日替わり湯、物販など。「生活の一部」であった銭湯に、イベントの要素を盛り込んだのだ。

例えばユニークなのが、形が悪い等で商品にならない生産物を湯に入れる「もったいない風呂」。「みかん風呂」「酒かす風呂」などバラエティに富み、好評だったが、一方でコロナ禍、衛生面を心配する声が上がり、残念ながら現在は中断している。

物販に関しては、湯上がりの飲み物としてクラフトコーラやクラフトビール、クラフトジンなど、ちょっとこだわった商品も品揃えした。1本500円近くと、銭湯の料金とほぼ同じ価格の飲み物も売れる。

また、より「おもてなしの心」を感じさせるのが、アメニティの充実だ。シャンプー類だけでなく洗顔、クレンジング、化粧水、乳液を揃えた。これら、風呂エンタメ施設とも言えるスーパー銭湯なら完備されているが、銭湯では普通、リンスインシャンプーとボディソープがあるぐらい。

フェイスタオル、バスタオルもそれぞれ50円、150円で貸し出している。現在は、今治と並ぶタオル産地、泉州のタオルを使用しているそう。小杉湯のスタッフが現地に足を運び、作り手と直に話してコラボ契約を結んできた。

こうした地道な取り組みにより、客が徐々に増えてきた。

常連たちと一緒に取り組む町づくり

「ここ数年で、月に1回来てくれた人が週1という具合に頻度が上がり、さらに地元以外からもお客様が来てくれるようになった」(小杉湯副社長の関根江里子氏)

なお、ここまで至るには、小杉湯だけではなく、小杉湯の常連、ファンがいっしょになって取り組んできたそうだ。小杉湯は代表取締役の平松氏、副社長の関根氏、正社員3名の体制。多くの人や企業との連携が欠かせない。

例えば小杉湯に隣接するカフェ・コワーキング施設「小杉湯となり」の企画・運営を行っている「銭湯ぐらし」は、小杉湯の常連など40名で構成される企業。

同社は「銭湯から始まる町づくり」を掲げ、近隣の空き家を「銭湯つきアパート」として再生させたり、マルシェや商店街の店とコラボイベントを開催するなどの事業を行っている。結果として、地元が活性化され、小杉湯のお客も増えるというわけだ。

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