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高円寺「小杉湯」が原宿に進出までの紆余曲折 4月開業の東急プラザ「ハラカド」も入浴料520円

東洋経済オンライン / 2024年4月10日 13時0分

「私たちが仕掛けるというよりは、不思議なことにお客様がこちらに近づいてくる。いっしょにやりたいと言ってくれ、イベントなど新しい取り組みを始めることが多い。常連やファンの皆様がやりたいことを実現してきた結果、小杉湯の今がある」(関根氏)

そういう関根氏自身、銭湯ファンの一人。しかし2年前まではまったく畑の異なる金融関係のスタートアップを運営していた立場だった。会社や株主の事情から、自分が提供するサービスや商品に真正面から向き合うことが難しく、事業や会社、社会について考えるようになった。「価値のあるものを経営したい」と思ったのが、銭湯の運営に関わるようになった動機だそうだ。

新しい銭湯文化への挑戦

「直感で『銭湯だ』と思った。小さな頃、清掃の仕事をしていた父が、帰宅すると銭湯に連れて行ってくれた。自分にとってもいい思い出のある場。そんな町の銭湯という日本の伝統的な文化に企業の経済的価値がつく、そんな世の中にしたい」(関根氏)

今回、高円寺を離れての、原宿の商業施設におけるプロジェクトも関根氏が中心になって動いている。

きっかけとなったのは東急不動産側からのアプローチだったそうだ。

「東急不動産でも、コロナ禍で価値観が変わり、これまでのやり方ではうまくいかなくなっているという課題を抱えていた。存続の危機に直面している銭湯といっしょに、この先も長く続いていく街づくりに取り組みたいというお話をいただき、挑戦することになった」(関根氏)

こだわったのは、継続性・持続性だった。地下1階の約半分にあたる、151坪のスペースを小杉湯がプロデュース。単なるモノの売り場、宣伝のスペースではなく、客といっしょに新たな銭湯文化をつくりあげられる場所でなければならない。

小杉湯原宿とともにフロアを構成する企業として、長期的に手を結べる企業に声をかけ、賃貸契約も年間単位で結んでもらう。花王、ランニングシューズのアンダーアーマー、サッポロビールなどが入居する予定だ。

花王は日本の公衆衛生を担ってきた企業として銭湯と方針を同じくする。アンダーアーマーは、ランニングステーションを展開するとのことで、これも汗を流す場所である銭湯とは相性がよい。ビールとの相性は言うまでもないだろう。

銭湯スペースは高円寺の小杉湯より小さくなり、男風呂、女風呂にそれぞれ浴槽3つ、シャワー・洗い場がそれぞれ9つずつ。高円寺で人気のミルク風呂、熱湯と水風呂に交互に入れる温冷浴も楽しめる。「サ活」でブームのサウナは、あえて入れなかった。

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