橋下徹「SNSの激しい口論で気をつけていること」 過激な発言でも、訴えられたのは棄却された1件のみ
東洋経済オンライン / 2024年4月11日 15時0分
でも、それで萎縮し、ものが言えなくなっては本末転倒である。あなたの手にある「発信力」という武器はぞんぶんに活用すべきだ。言うべきときにははっきり言う。時には過激で大胆な意見も有意義である。でなければ、新しい価値は生まれない。
SNSは自由だ。でもその自由は、ある種の不自由、つまり責任によって保障される。アウトとセーフの線引き。それさえ押さえれば、あとは自由である。思うぞんぶん、発信したいことを発信しよう。それがあなたの付加価値になるのだ。
事実を言うと「名誉毀損」になる
SNSでは名誉毀損をめぐるトラブルが絶えない。
いくら本人にそのつもりがなくても、相手の社会的評価を低下させる発言だと見なされれば、名誉毀損に該当しうる。訴えられると、民事・刑事上の責任を負うおそれがある。
でも、そもそも名誉毀損とは、具体的にどのような事態を指すのだろうか。名誉毀損罪は刑法230条で次のように定義されている。
〈公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処する〉
ここでポイントになるのは「公然と事実を摘示(提示)」という箇所だ。
ウソ(虚偽)の情報を用いて、相手の社会的評価を低下させる──。名誉毀損をそのようなニュアンスでとらえている人が多いのだが、それは誤りだ。その情報が本当かウソかは関係ない。誹謗中傷にあたるのかどうかも関係ない。
たとえ偽りのない「事実」であっても、相手の社会的評価を低下させる情報なら、名誉毀損になる。
あくまで問われるのは、相手を貶める「事実」の摘示(提示)、それ自体なのだ。
「あいつは○○をしたから、サイテーなやつだ」
○○がネガティブな事実の情報なら、その情報の真偽を問わず、これを発した人はアウトだ。名誉毀損で訴えられると言い逃れは難しい。
(ただし、名誉毀損行為だったとしても、その事実の摘示に、「公共性」「公益性」「真実相当性」の3要件がすべて満たされていれば、名誉毀損は成立しない。メディアが政治家や大手企業の不正を報じるのはその3要件を満たしているからだ)
「あいつはサイテーなやつだ」
これだけだと「事実」はない。単なる非難(意見)にすぎない。だから名誉毀損にはならない。
(ただし、非難の言葉が過ぎれば責任を問われる)
僕は職業柄、法律上のさまざまな相談を受ける。名誉毀損で訴えられた人がよく口にするのは「事実を言ったのに名誉毀損になるんですか?」という質問だ。なるのだ。それは罪にもなりえる。
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