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ファミレスが「時代遅れ」になってきてる深い理由 ガストもサイゼも…国内店舗数はジワジワ減少

東洋経済オンライン / 2024年4月11日 12時0分

同社が発表している資料によると、2023年12月期は、ガストが1317店舗から1280店舗で37店舗減、ジョナサンが206店舗から188店舗で18店舗減、合計で55店舗減となっている(2022年12月期、2023年12月期の決算説明会資料より)。

また、2024年もこれらの業態は厳しく、3月までで、ガストは5店舗、ジョナサンは7店舗も閉店している。

ただし、すかいらーくHD自体の業績は悪くない。毎日新聞によるインタビューで金谷実社長は「昨年は業績が急回復し、業績見込みを十分達成できた」という。特に、コロナ禍以後、「しゃぶ葉」や「むさしの森珈琲」といった業態が好調で、これらを中心に出店を加速させるという。

すかいらーくHDの事例からわかるのは、ファミレスよりも、「しゃぶ葉」のような1品目に集中した専門レストラン、あるいは「むさしの森珈琲」のようなカフェチェーンの需要のほうが高まっている、ということだ。今後もファミレスからこうした業態への転換は進んでいくかもしれない。

「だらだらできる空間」としてのファミレス

では、どうして「ファミレス」の人気は落ちているのだろうか。これには、さまざまな理由が考えられる。

例えば、もはやファミレスのメニューは低価格だとはいえない、など、消費者の目線から見れば値段的な問題は、大きな要素になる。昨今、外食業界ではステーキ店や、渋谷にあるハンバーグ店『挽肉と米』に端を発したハンバーグ専門店が流行しているが、これらの専門店と比較すると、さまざまな商品を提供することが売りのファミレスでは、商品力でなかなか太刀打ちできない現実もある。

このように、少し考えるだけでも多くの理由が浮かぶわけだが、さまざまなビジネスを「空間」という切り口から見てきた筆者からは、こうしたファミレス低調の影には「空間としての優位性」が低下してきたことがある、と思える。

以下、その点について説明していきたい。端的にいえば、ファミレスの空間の優位性とは「だらだらできる」ことにあり、それが低下してきたのではないか、ということだ。

ここで、冒頭の『花束みたいな恋をした』に戻りたい。この作品では、主人公の2人が深夜のファミレスで語り合うシーンが出てくる。これはもちろん、ファミレスが「24時間営業」していることが前提となる。

ファミレスの24時間営業の歴史は古い。1970年代から始まり、「ファミレスといえば24時間営業」というイメージも生まれてきた。実際、こうした広がりを受けて、『花束みたいな恋をした』だけでなく、さまざまな作品で、「ファミレスでだらだら話す」という場面が描かれてきた。『花束』の脚本を担当した坂元裕二はファミレス好きを公言していて、本作以外でもファミレスのシーンを登場させることでお馴染みだ。

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