ファミレスが「時代遅れ」になってきてる深い理由 ガストもサイゼも…国内店舗数はジワジワ減少
東洋経済オンライン / 2024年4月11日 12時0分
また、星野源は2024年4月2日のオールナイトニッポンを、深夜のファミレスから生中継した。星野は「深夜のファミリーレストランが大好きなんですよ。(中略)その時にだべっている感じがすごく好きなんですよ」と言っている。「ファミレスでだらだらする」ことが、日本におけるファミレス観の一つを形成してきたことがよくわかるエピソードだ。
もちろん、深夜だけではない。昼間でも、ママ友たちがいつまで続くかわからないおしゃべりをしている風景にも出くわすし、高校生たちがだべりながら勉強している風景も見たことがある。
「だらだら、なんとなく過ごせる場所」という空間的な価値を持った存在としてファミレスはあったのではないか。
しかし、ご存じのように、このように「だらだら過ごせる」ことは、ファミレスにおける長時間労働や低賃金労働のうえで成り立ってきたことも忘れてはいけない。
実際そうしたことが問題化するなかで、2017年にはロイヤルホストが、2020年にはガストが24時間営業を撤廃している(ガストは2022年に24時間営業撤廃を一部変更し、現在ではごく一部の店舗で朝5時まで営業をしている)。また、「だらだらいる客」は、店側にとって、望ましい客でないこともたしか。都心にあるファミレスでは「90分制」を掲げる店舗もある。
労働者や店側の観点に立てば、「だらだらいる客」は望ましいものではなく、実際にこうした空間としてのファミレスは、姿を消し始めた。
でも、こうした場所としてのファミレスは、消費者にとっては、商品の種類や価格と同じぐらいか、もしかするとそれ以上に魅力的なものだったと思う。
ファミレスからカフェに「だらだら空間」が移った?
「居場所」という点でいえば、最近顕著なのは「カフェ」の勃興である。さきほど、「すかいらーくHD」の話題をしたときに、「ガスト」や「ジョナサン」が「むさしの森珈琲」に移り変わっている、という話をしたが、こうした「ファミレス」から「カフェ」へ、という流れも、「だらだらできる空間」を軸に見ていくと面白い。
2000年代から「カフェブーム」と呼ばれ、スターバックスやドトールのような「セルフスタイル」のカフェの数が増えている。特にスターバックスは現在1800店舗を超える店舗があり、コロナ禍のときも精力的に出店を続けていた。
興味深いのは、特に日本での出店を広げている「スターバックス」や「コメダ珈琲店」は、「だらだらいる」、つまり「長居」する客をある程度想定したビジネスモデルを作っていることだ。
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