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高層ビル「台北101」が大地震でも無傷だった秘訣 5年間「世界一」を守ったビルの"制振・耐震設計"

東洋経済オンライン / 2024年4月11日 19時30分

台北のシンボルタワー「台北101」(写真:kaede.enari/PIXTA)

4月3日午前8時58分頃(日本時間。台湾時間は7時58分頃)、台湾東部の花蓮(かれん)県沖でマグニチュード7.4の地震が発生。花蓮県で震度6強、台北市でも震度5弱を記録した。

【写真】高層ビルを守ったのは巨大な鉄球(ウィンドダンパー)だった

台北市内は当時、いったいどんな状況だったのか。

世界100カ国以上の現地在住日本人ライターたちの集まり「海外書き人クラブ」の会員が、当時の台北市内の様子と、台湾一の高層ビル「台北101」を救った耐震設計について紹介する。

通勤ラッシュ時を襲った大きな揺れ

「403花蓮地震」と名付けられた今回の地震は、1999年9月21日に発生したマグニチュード7.6の地震(921大地震、2400人以上が犠牲になった)以来、過去25年で最大級の規模といわれている。また、発生から1週間で16人の死亡が確認された。

台北市在住の筆者は地震発生当時、ちょうど自宅を出るところだった。

最初は「なんか揺れてる?」程度だったのが、すぐに大きな揺れに変わり、「これはまずい」と机の下に隠れた。天井を見たら、25センチほど離れている2つの照明器具が、あわや衝突かというほどに揺れていた。

30秒ほど経っただろうか。揺れが収まったため、恐る恐る机の下から這い出し、室内の様子を観察した。マンションの3階にある我が家は、幸いにして物が倒れたり壊れたりすることはなかった。

職場はどうなっているだろうか。

出勤を急ごうと地下鉄の駅に向かったが、地下鉄は動いていない。おりしも通勤ラッシュの時間帯。筆者と同じく、代替交通手段を求めてさまよう人たちが、街中にあふれていた。

止まっている地下鉄の駅から、次々と人が出てくる。平常時の何倍にものぼる人たちがタクシー乗り場に押し寄せたため、タクシーは一向につかまらない。バスは動いていたのでタクシーはあきらめて、バスで職場に向かうことにした。

自宅とはまったく違った職場の状況

職場に到着して思わず目を見張った。

筆者の職場である台北市内のビルの13階では、机の上にあったものすべてが床に落ちており、引き出しが開いて、中のものが飛び出していた。コピー機が数メートルも動いている。

パソコンのモニターは床に落下し、ウォーターサーバーのボトルは台座から転げ落ちている。ホワイトボードや壁に掛けたポスターは壁からずり落ちていた。

地震が起こった際、すでに出勤していたスタッフは、筆者が自宅で経験したのとは比べものにならないほどの揺れに直面し、かなりの恐怖を感じたそうだ。スタッフに人的被害がなかったのが、本当に救いだった。

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