思考が停止した部下に「責任感」を自覚させるには 「これをやって」浅い頼み方が組織をダメにする
東洋経済オンライン / 2024年4月12日 10時0分
産業革命期に定着した組織の構造では、作業を実行する人は、どんな仕事をいつどのように行うかを選ぶことはできない。
上司の決定に従うだけなので、作業を実行する人に責任感は生まれず、あるのは服従だけとなる。
しかし、上司と部下が正しく連携をとれば、実行に移すことへの責任感が生まれると、米海軍の原子力潜水艦「サンタフェ」の艦長を務めたマルケ氏は指摘する。
責任感を持った人の言い方はどう変わるのか。マルケ氏がまとめた、リーダーの言い方についての指南書『最後は言い方』から紹介しよう。
選択の自由と、責任の関係
部下に責任感を意識させたいなら、カギとなるのが選択の有無だ。
選択の自由がなければ責任感は生まれない。「イエス」と答えるしかない状況に置かれれば、人は服従するしかない。
服従は、人々に考えることをやめさせる。別の誰かが決めたルール、指示、行動内容に従うことしか求められないからだ。
思考や意思決定という厄介なプロセスから解放されるのだから、服従すればラクができる。おまけに責任まで回避できるときている。
会社で業務上のミスがあると、「言われたとおりにやっただけです」という返答がよく聞かれる。これはつまり、自分に責任はないと言っているのも同然だ。
ほかの誰かが決めたことに、ただ従ったにすぎないのだから。
相手を従わせるのに多くの言葉は要らない。
「これをやって」
「なぜですか?」
「やってほしいからだよ」
「わかりました」
このようなやりとりですむ。上司からすれば、部下への現状説明という厄介で時間のかかる仕事から解放される。しかし、詳しい説明がなければ脆弱な状態が生じる。
決断する人と実行する人を分けていた産業革命期では、服従が生まれるのは自然な成り行きだった。
しかし、いまの時代に求められているのは、連携から生まれる「責任感を持った取り組み」だ(連携をとることについてはこちらの記事も参照)。
責任感を持った人の言い方はどう変わるのか
責任感を持って取り組む人の言葉には、業務を遂行するという決意に加えて、一定条件を満たした場合や、一定の業務を行ったあとに意思決定や判断のモードに入るタイミングが含まれる。
次のような感じだ。
◆「プロジェクトの次の段階を始めようと思います。その次をどうするかを判断するための中断は10日後を予定しています」
◆「選択肢1で進める予定です。15日したら一度中断して振り返ります」
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