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「人に迷惑をかけない」が行きすぎる社会への懸念 坂東眞理子さんが語る「孤立」と「自立」との違い

東洋経済オンライン / 2024年4月12日 17時0分

コロナパンデミックのはじめのころは、もし大学で集団感染(クラスター)を起こしたら「社会に迷惑をかけた」とバッシングを受けるので、教職員はみなピリピリしていました。

そういえば、コロナ禍の初期のころ、他県ナンバーの車を見つけると「来るな」と貼り紙をしたり、感染者を出した家族が仲間外れにされたりするという現象も見られました。

マスクをせずに出歩く人には厳しい目が注がれました。「自粛すべきときに自粛していないのは許せない」と攻撃するのです。

「自粛警察」などと呼ばれましたが、「自分はがまんしてルールに従っているのに、ルールに従わないのは許せない」という心理なのだと思います。

人に迷惑をかけないようにする人が多いのと同時に、「人から迷惑をかけられるのは絶対にいやだ」と考える人も増えています。

「寛容な気持ち」を忘れない

「保育所の子どもの声がうるさい」「高齢者がレジでもたもたしていてイライラする。待たされるのはいやだ」というように、自分の都合だけを声高に主張する人もいます。

「まあ、いいや」と少しだけ寛容な気持ちで受け入れられれば、お互いにラクになるはずです。

人から迷惑をかけられるのをいやがる気持ちは、「自分も迷惑をかけるのはいやだから」となって、困っても助けを求めるのをためらってしまうことにつながります。それはとてもさびしい社会ではないでしょうか。

人間は完全な存在ではありません。知らず知らずに迷惑をかけることもあります。迷惑をかける人がいても、もう少し自己主張を控えて、「頑張ってもうまくいかないときもあるさ」「困っているときはお互いさまよ」と柔らかく受け止められるようになるといいですね。

坂東 眞理子:昭和女子大学総長

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