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ダイハツ新経営陣が船出、良品廉価を守れるか 適正な開発体制と競争力の両立が至上命令

東洋経済オンライン / 2024年4月12日 12時0分

過度な短期開発から適切な開発へ。現場の声が経営陣に上がりやすい体制を目指す(写真:風間仁一郎)

前代未聞の一大不正からの再出発だ。

ダイハツ工業は4月8日、新たな事業方針を発表した。新車の認証試験不正によって大きく毀損したブランド力を取り戻せるかが焦点となる。「もう一度ダイハツがあってよかったと言っていただけるように会社を再生していきたい」。3月に就任した井上雅宏新社長は意気込みを語った。

井上氏はダイハツの親会社であるトヨタ自動車で、南米など新興国での営業畑を歩んできた。直近で務めていた中南米本部長時代にはトヨタ初の海外生産拠点であるブラジルのサンベルナルド工場閉鎖を含む工場再編などを指揮してきた。トヨタ幹部は「井上氏はとにかくいろいろな人と対話を重ねていく、会話型の人間」と評する。

発表会には、トヨタの元人事担当副社長の桑田正規、ダイハツ生え抜きの開発・生産担当役員である星加宏昌の両副社長も登壇。新たなダイハツ経営陣の船出を印象づけた。

トヨタとの役割分担を見直す

ダイハツが新たな経営方針で示したのが、小型車事業における組織再編とトヨタとの役割分担の見直しだ。両社にまたがっていた「新興国小型車カンパニー」を廃止。トヨタの「トヨタコンパクトカーカンパニー」に製品企画機能を移管し、トヨタが開発から認証まで責任を持つ体制に改める。

ダイハツが設置した第三者委員会では、トヨタの完全子会社となった2016年前後からトヨタの開発委託が増えたのに対し、安全試験や認証に関連する人員が急減したことが問題として指摘されていた。

トヨタ幹部は「当時の経営陣が合理化を優先させた結果だ」とするが、ダイハツ元幹部は「そもそもトヨタからの開発委託が増えて技術者を取られたことで負担が増した」と振り返る。

責任の所在がどちらであるにしろ、ダイハツの開発現場への過大な負荷が不正を招いた。このため従来、新興国向けの小型車ではダイハツが開発から認証まで責任を負っていたものを、実際の開発業務だけをダイハツが担うようにする。

海外向けの新車開発では「毎年のように法規が変わり、その法規と国の数、車両の数が掛け算となって、かなり膨大な負荷になっている」(トヨタの中嶋裕樹副社長)。こうした業務はトヨタが責任を持つ。

ダイハツは、法規認証室の人員を、2024年6月をメドに2023年1月比7倍まで増やす。海外向け業務を軽減したうえで、国内向け認証体制を増強。「軽自動車を中心としたモビリティーカンパニーとなる」(井上社長)方針だ。

人事や組織改革にも手をつける。5階層あった組織は、統括部長・副統括部長職の廃止によって社長・副社長・本部長の3階層に削減。若手の抜擢もしながら、経営陣と現場の距離を近づける。部門間ローテーションの活性化や形式優先の書面リポートの撤廃など風土改革を進めていくという。

開発標準日程を見直し

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