1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

尾上右近「カレー」と「歌舞伎」をつなぐ仕事観 年間360食「無類のカレー好き」で独自の存在感

東洋経済オンライン / 2024年4月13日 11時0分

立ち食いそばに近い感覚のようにも感じるが、「こだわりのないエネルギー摂取は嫌なんです。やっぱり食事は楽しみたい。それで行き着いたのがカレーでした」

歌舞伎にこだわる時間を多くとるために

右近さんらしいこだわりは、日常にも垣間見える。

「服はほとんど、黒しか着ません。舞台で派手な和柄ばかり着ているのもありますが、色の組み合わせを考えるのがあまり得意じゃないみたいで。

ある時期、これとこれを組み合わせてって考えることがすごくタイムロスな気がして。その日着る服を考えているうちに、出かける時間になることが結構あった。それが嫌で、黒だけを着ることに決めた」

一瞬たりとも無駄にしたいくないタイプかというと、そういうわけではない。

「グズなので、なるべく時間をかからないようにしておかないと、どんどん時間のロスが生まれてしまう。だから黒の服しか着ないというのも、こだわりというより、自分に課している感じ」

それは、カレーにも通じている。

東京でも、地方でも、カレーを食し、家でもレトルトカレーをあいがけにして組み合わせを楽しむほどカレー好きな右近さんだが、自分でカレーを作ることは一切しない。

「一生やる仕事に携わっているので、なるべく密度の高い状態でありたいと思うし、歌舞伎にこだわる時間、考える時間、触れる時間はなるべく多く取っておきたいんです」

だから、食事は全国どこにでもあって、パッと楽しめて、パッと食べられるカレーがいい。そして、自分では作らない。実に明快だ。

ただ、ナイルレストランが大好きで、頻繁に通い、同じように一生を歌舞伎に懸ける歌舞伎俳優たちは大勢いる。なぜ、同じ環境下で、右近さんだけがカレーにここまで突き抜けたのか。

「みんな、その限られた時間の中でも、いろんな選択肢を見つけるという器用さを持ってるのかもしれません。僕はそんなに器用なタイプではない。

いろいろなものに触れて楽しいと思うタイプの人もいるし、いろんなことをやっていないと飽きてしまう人もいる。僕はそうではないようです」

カレーを通じて自分を知ってほしい

2024年も年明けから、1月は歌舞伎座、2月は大阪松竹座、3月は京都南座、4、5月は歌舞伎座、6月は博多座と歌舞伎の舞台が続く。

その合間を縫って、他の仕事のため、新幹線で地方と東京を往復することもある。「新幹線ばかり乗っている」と本人は苦笑するが、それほど多忙でも、バラエティ番組でカレー屋をハシゴするのもまったく苦ではないという。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください