「マーチ」地味なコンパクトカーが残した功績 クルマの世界をおもしろくしてくれた超新星
東洋経済オンライン / 2024年4月13日 12時20分
モータースポーツにも積極的に投入され、ベースになる「マーチR」が1988年に発売された。中でも話題を呼んだのは、スーパーチャージャーとターボチャージャーの、いわゆるツインチャージャータイプの930ccエンジンだ。
このツインチャージドエンジンは、1990年に発売されたマーチ「スーパーターボ」にも搭載される。このころ、マーチは世界ラリー選手権(WRC)にも投入されるなど、モータースポーツでの活躍ぶりも印象的だった。
「久米豊社長(在任1985ー1992年)の時代に、モータースポーツで勝てばクルマが売れると活動に力を入れるようになって、たとえば全日本ラリー選手権における1.0リッター以下のAクラスと1.6リッター以下のBクラスというカテゴリー(いずれも当時)のためにマーチを使いました」
当時、日産自動車の広報部に籍を置いていた関係者は、そう証言している。
レトロをトレンドに昇華したパイクカーも
並行するように、マーチをベースに開発されたのが「パイクカー」だ。スーパーコンセプターとも呼ばれた坂井直樹氏を企画スタッフに加え、大胆なボディをデザイン。1987年に「Be-1(ビーワン)」、1991年に「フィガロ」が発表され、大ヒットしたのだった。
この2台は、世界の自動車メーカーからも注目され、「レトロ(スペクティブ)」というコンセプトがデザインに採り入れられるきっかけを作ったのだから、歴史に残るモデルだ。
「僕が初めて出かけた日産の開発センター(神奈川県厚木市の日産テクニカルセンター)では、守衛室できびしく誰何(すいか)されまして、『真っ黒な服を着た変な人がきています!』とデザイン部に連絡されたのを覚えています」
坂井直樹氏が、のちに私に語ってくれた思い出だ。モータースポーツ活動に熱心な“硬派なマーチ”の開発陣にとって、レトロデザインの派生モデルはなかなか受け入れがたかったようだけれど、当時のデザイン部長の決断で企画にGOが出た。
パイクカーは、マーチのモデルチェンジが遅れたため、市場の興味をひきつけておくための“つなぎ”の役割とも言われたが、日産にとって重要なモデルになったことは間違いない。
1991年にはNISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)と開催したワンメイクレース「ザウルスJr.カップ」のためのレーシングフォーミュラモデル、「ザウルス・ジュニア」のベースにもなった。
1992年になって、マーチはようやく2代目になった。当時は今よりもモデルチェンジサイクルが短く、たとえば「セドリック」などは4年きっかりでモデルチェンジしていた中で、10年というモデルライフは異例に長かった。遅れたのにはいろいろな事情があっただろうが、それだけ「売れたクルマ」だったということだ。
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