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「歳をとれば脳の働きは弱まる」と思う人の大誤解 新しい情報を入れれば一生に渡り変化し続ける

東洋経済オンライン / 2024年4月15日 14時0分

ホーンとキャッテルは、流動性知能は年齢とともに低下していくが、結晶性知能は、60歳頃まで上昇を続けて、その後も、ほとんど低下しないことを見出しました。

例えば、言葉を操る能力は結晶性知能に関連しているため、高齢者になっても、高い水準を維持できるのです。つまり、年齢を加えるのは、ポジティブな意味を持っているということになります。これも、高齢者にとっては、大いに励みになる研究結果です。

勉強は何歳から始めてもよい

高齢者の脳の研究は、日本でもなされています。東北大学の加齢医学研究所の瀧靖之教授は、脳のMRI画像の分析を行うことによって、認知症の発生の予防を研究しています(「脳のパフォーマンス最大に 脳医学者お薦めの勉強法」NIKKEI STYLE、2018年12月6日。「シニアの勉強法、予復習で効果的に 何歳から始めても大丈夫」100歳時代、ライフプラン 産経新聞、2022年8月3日)。

大人の脳も、子供の脳と同じように成長することができるということが、重要な発見です。新しいことを学ぶと、脳に情報伝達の回路ができる。勉強を続ける限り、そのような回路が確実に増えて、そして、新しい能力を身につけることができるというのです。だから、勉強は、何歳になって行っても有効なものだということになります。

これは、すでに述べた、海外での研究と同じような結果です。

「勉強したいと思うけれども、近頃物忘れが激しくなって」と心配している高齢者にとって、瀧教授の研究結果は誠に朗報です。こうした研究に力づけられて、ぜひ積極的に勉強を進めていくことにしましょう。

瀧教授は、また、好奇心が非常に重要な役割を果たすことを指摘しています。勉強を嫌いだと感じると、ストレスホルモンが分泌されて、うまくいかない。しかし逆に、勉強が好きだと考えると、記憶がより定着しやすくなるということになります。脳の働きをよくするには、運動することも重要です。散歩などの運動が、脳の働きを活性化してくれるそうです。

以上の研究成果を見ていると、脳の働きについて私たちが普段考えている内容は、間違っていることもあり、また正しいこともあることに気づかされます。

「歳をとれば脳の働きが弱まる」というのは間違った考えです。その反面で、「好奇心の強さが勉強を進めていく」というのは正しい考えです。

このような研究結果は、われわれが勉強を進めていく上で、励みにもなるし、またどのような方法で進めたらよいかという指針を与えてくれることにもなります。研究結果を参照することで、正しい方法で勉強を進めていくことができます。

歳をとらないと悪魔の言葉は分からない

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