日本中が熱狂「新NISAブームの今」の不都合な真実 後藤達也×田内学「お金と投資」対談【前編】
東洋経済オンライン / 2024年4月18日 6時59分
この流れに乗って、国民も自分の資産をノーリスクの預貯金に固定するだけではなく、投資にもある程度ふりわけていく流れができればいいなとは、私は思っています。
ただ、一方でこういう条件が揃って新規参入者が増える時期には、はずみがつきすぎて、とんでもないリスクの取り方をしてしまったり、手を出してはいけないような金融商品に手を出して、大けがをしてしまう人が現れるのも確かです。
特に大きく構造転換するときには、大げさに物事を言う人が出てくるし、そういう人のほうが、SNSにしてもYouTubeにしても「いいね」やアクセスを取りやすいんですよね。その結果「もっと見てもらいたい」とさらに大げさになっていって、場合によっては誇張や嘘が蔓延してしまうことにもなりかねません。
後藤:そうなってしまうと、投資や資産形成に瞬間的なブームが起こっても、結局、痛い目にあってしまう人が続出して、長続きはしません。
ですので、長い目で健全に資産形成の文化とか、金融リテラシーが広がってほしいなと思っています。
後藤氏「投資のお金はガソリンでしかない」
田内:僕自身、銀行にも預金はしているのですが、銀行員から「預金だけではもったいないので、投資しませんか」とすすめられることがあり、そういう誘いにすごく違和感を覚えています。なぜなら、預金に利息がつかず、結果的にもったいないことになってしまっているのは、僕をはじめとした預金者のせいではないからです。
本来、銀行というものは、資金ニーズのある相手にお金を融資し、その対価として金利を稼ぐのが役割です。でも、今の日本では大企業だけでなく中小企業も長年投資を控えてきたこともあり、内部留保金が潤沢で、あえて銀行から融資を受ける必要がない会社が増えています。もちろん余裕のないところもあるのですが、全体としては新規の資金ニーズが不足しているように思います。
その結果、資金が銀行の金庫に眠ったままになってしまって、利息を預金者に還元できない状況になってしまっているわけです。
こういう資金需要がない状況で、僕たちが株などのリスク資産に投資をしたところで、実体経済なんて変わらないと思ってしまうのです。
後藤:資金使途が思いつかない企業に、無理やり株を発行させてお金を注入するのも変な話なので、個々の企業が頑張るしかないですね。この件に関しては、他者が何かできる問題ではないので、自助努力にならざるを得ないでしょう。
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