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中国の自動車メーカーが「PHV強化」を急ぐ背景 EVの減速を尻目に販売好調、競争激化は必至か

東洋経済オンライン / 2024年4月19日 18時0分

中国の自動車市場ではPHV人気の高まりを受け、新型車の投入が相次いでいる。写真は長安汽車が3月に発売したレンジエクステンダー型EV「深藍G318」(同社ウェブサイトより)

中国の自動車業界で、PHV(プラグインハイブリッド車)の新型車投入や技術開発を強化する動きが相次いでいる。中国市場でEV(電気自動車)の需要拡大がスローダウンする中、PHVは伸び続けていることが背景だ。

【写真】BYDの低価格PHV「秦PLUS DM-i」の2024年モデル(同社ウェブサイトより)

3月後半だけで、少なくとも4つのメーカーがPHV関連の発表を行った。国有自動車大手の長安汽車は3月18日、同社の第2世代のレンジエクステンダー型EVプラットフォーム(車台)を採用した新型車「深藍G318」をお披露目した。

(訳注:レンジエクステンダー型EVは、航続距離を延長するための発電専用エンジンを搭載したEVを指す。中国の販売統計上はPHVに分類される)

3月24日には、民営大手の吉利汽車の関係者が一部のメディアに情報をリーク。同社の次世代のPHVプラットフォームを採用した新型車の航続距離が、車載電池とガソリンタンクを満タンにした場合に最大2000キロメートルに達するとアピールした。

2023年の販売台数85%増

さらに3月30日、国有大手の東風汽車集団が新開発のPHVプラットフォームを採用した第1号モデル「風神L7」を発表。同じく30日、国有中堅メーカーの奇瑞汽車も新型PHV「風雲A8」を発表した。

中国の自動車市場では2023年のEVの販売台数が668万5000台に達したが、前年比の増加率は24.6%に低下した(訳注:2022年の前年比伸び率は81.6%)。一方、同年のPHVの販売台数は280万4000台とEVの4割強だったものの、前年比の増加率は84.7%と大幅な伸びを示した。

2024年に入り、EVの販売環境は(参入メーカーの多さや価格競争の激化などにより)ますます厳しくなっている。中国汽車工業協会のデータによれば、2024年2月のEV販売台数は春節(中国の旧正月)の連休が重なった(ために営業日が平常月より少なかった)影響で、前年同月比21.8%減の29万4000台にとどまった。

ところが、同月のPHVの販売台数は18万3000台を記録し、前年比22.4%の増加を記録。EVと比べた勢いの違いが鮮明になった。

PHVはエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド機構をベースに、電池だけを動力に使う純電動走行や外部電源からの充電にも対応している。純粋なEVにつきものの電池切れの心配がないほか、エンジンを燃焼効率が最も高い回転域で運転できるため、トータルの燃費も優れている。

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