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大動脈解離の73歳「スペインから日本」目指す背景 異国の地で下半身マヒになった女性の帰国とは

東洋経済オンライン / 2024年4月20日 12時0分

「オルメドは本当に小さな町です。救急車で隣町の大きな病院に運ばれて、診察を受けました」(文恵さん)

病状について、次のように説明されたという。

「簡単に言うと、大動脈の再乖離です。過去に大きな手術もしているようなので、これ以上手術することができない。下半身マヒも起きていて動けるようになるかはわからない、と」

聖司さんはそう語るが、どことなく歯切れが悪い。理由はスペインの医療体制にあるようだ。

「スペインの病院は日本と同じように、大きく分けて公立と私立とがあります。母が救急車で運ばれたのは公立病院でした。私立病院の医療費は全額自己負担なのですが、公立病院は無料で治療を受けることができます。無料なのは高齢の両親にはとてもありがたいのですが、日本のように医師からの詳細な説明はなかったようで、母の体に何が起こっているのか、なぜ下半身マヒとなってしまったのかは、実はよくわからないんです。お金の面を考えると私立病院に転院させることもできませんでした」(聖司さん)

手術ができず、下半身はマヒ。そんな状態で、投薬治療とリハビリの生活。3️カ月ほどで退院したが、そこからも通院とリハビリは続いた。

「退院して自宅に戻ったのですが、介護のことでまた問題が発生しました。スペインにも介護制度はあるのですが、日本のように要介護認定されれば誰もが利用できるというわけではありません。ある程度財産が残っている家庭では、全額自己負担なんです。父は日本の大学に勤めていたので、多くはないのですが、それなりの蓄えがありました。

でも、自宅で介護サービスを受けると、月額日本円で数十万円かかる。それではとてもじゃないけどやっていけないので、父には悪いのですが、両親2人とも、日本で暮らしてもらうことにしたんです」(聖司さん)

イエズスさんと文恵さんの出会い

約40年前、イエズスさんと文恵さんは出会った。その頃、イエズスさんはいわゆる宣教師として日本に滞在していた。一方、文恵さんはキリスト教の文化や、教えについて知りたいと、その方面の勉強を始めたばかりだった。文恵さんは勉強の一環として、毎週のように近所の教会のミサに参加していた。

「ある日ね、クリスチャンのお友達に誘われて、そのお友達がやっている絵画展に出かけたんです。小さな絵画展だったから、来場者もそんなに多くはありませんでした。私は絵を一通り見て、受付に戻ったんです。そしたらちょうどパパ(イエズスさん)が、受付名簿に名前を書いていた。ロレンソ・イエズス。その名前を見た時に、なんだか、ピンときたんですよね。やっぱり導かれていたんでしょうかね(笑)」(文恵さん)

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