機能性食品で「怪しい健康食品」を取り除いている 阪大・森下氏が指摘する「小林製薬問題」の本質
東洋経済オンライン / 2024年4月21日 8時30分
小林製薬が販売していたサプリメントによる健康被害問題は、収束の気配が見えない。いまだ因果関係や原因の特定に至っていない。
今回、問題となったサプリメントは、事業者の責任において科学的根拠に基づいた健康効果をうたう機能性表示食品だった。政府は5月末をめどに、この機能性表示食品制度の方向性を取りまとめることとしている。
バイオベンチャーのアンジェスを設立した大阪大学の森下竜一寄附講座教授は、2015年4月にスタートした機能性表示食品制度の制度設計に深く関わってきた人物だ。今回の健康被害と制度を見直す流れを、“旗振り役”はどう見ているのか。
食の安全に関する問題
――小林製薬のサプリに関する報道を、どう見ていますか。
まだ原因ははっきりしないが、製造工程でなんらかのアクシデントがあったのだろう。サプリから検出されたという「プベルル酸」の腎毒性はまだわかっていないし、誰かが何かを混ぜた可能性もゼロではない。単にカビの混入による食中毒の可能性もある。
紅麹自体は古くから使われている食品で、安全性は高かったはず。ただ報道によれば、小林製薬の製造における紅麹の発酵過程は長い。工程の途中で何らかの不純物が入ったのだとしたら、製造過程や出荷時の品質管理で防げていたことだ。
そうであればこれは健康食品だけでなく、食品すべてで起こりうる問題。機能性表示食品制度の問題ではなく、食の安全に関する問題だ。問題の本質を考えないと、再発防止につながらない。
――消費者の機能性表示食品に対する不安が高まっています。
推測ではあるが、円安などを理由に届け出時と異なる原材料を使ったことや、製法を変更した可能性もあり今回の事態につながったかもしれない。
しかし機能性表示食品にかかわらず、トクホや栄養機能食品も含めた健康食品は、医薬品とは違う。あくまでも食品なので、原料を変更することで改良されることもある。だから食品の原料を変えることは、必ずしも悪いことではない。
薬のように原料まで規制するのは過剰だし、実際不可能である。そもそも食品は、その日その日で出来が違ったりもする。食品としての特性を理解する必要がある。
機能性表示食品だったのは不幸中の幸い
――政府は、機能性表示食品制度の見直しを進めています。
このような問題が起きてしまったから、見直しは避けて通れないだろう。今回は機能性表示食品が悪者にされているが、もし一般のいわゆる健康食品だったら、もっと被害が拡大していたかもしれない。通常の食品には、健康被害の報告義務がないからだ。
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