ハーレーダビッドソンが愛される所以と進化の姿 最新の2024年モデル3台を試乗して感じたこと
東洋経済オンライン / 2024年4月21日 12時10分
搭載されるVツインエンジンは、「ミルウォーキーエイト」と呼ばれる同社最大のエンジンケースを使ったもので排気量1923cc。そのエンジンは、3500rpmで168Nmの最大トルクを発生し、最高出力は5020rpmで102HP(76kW)を絞り出す。右手のアクセルグリップを軽くひねってやるだけで、素晴らしいトルクと、ハーレーダビッドソンならではのエンジンサウンドがシンクロし、310kgの車重でさえ軽々と前へ進めていく。
フロントタイヤは21インチホイールに130サイズ、リアは18インチホイールに240サイズのタイヤを採用し、スタンダードながらもフルカスタムの王道を貫く仕上げ。大きなエンジンだが圧倒的にシリンダーよりクランクまわりの重量があり、低重心ゆえの軽い切り返しを実現していることには驚かされた。扁平率40%となるリアタイヤのおかげで、乗り心地はダイレクト感があり、腰に負荷がかかるほどではないと感じた。
フォワードステップと腕をストレートに伸ばしたライディングスタイルは、風を全身で感じながら、一定の巡航速度でどこまでも走りたくなる感覚だ。スポーツバイク一筋の筆者ではあるが、この仕上がりのよさは、モーターサイクル最後の聖域と感じた。美しいステンレスポリッシュパーツやクローム仕上げなど、スタンダード仕様ながらカスタムビルドと見間違えるほどのスタイリングは、まさにハイウェイスターという気分を味わえた。
シンプルを極めた「STREET BOBTM114」
一方、「STREET BOBTM114(ストリートボブ114)」は、排気量1868ccで、シンプルを極めたストリートスタイルが特徴だ。その力強いフォルムは、ハーレーダビッドソンが持つ伝統的なスタイリングに加え、ブラックアウトされたエンジンなど、細部からもこだわりが伝わってくる。マットブラック2本出しのサイレンサーや、骨太の6本ホイールスポークを見ても一目瞭然だろう。
ライディングポジションは、ローシートに体を任せて直立して座るもので、足を前に投げ出すようなフォワードコントロールだったブレイクアウト117に対し、ストリートボブ114はそれよりも後方にステップが配置されたミッドコントロールと対象的。ハンドルグリップへ腕を伸ばすのではなく、比較的手前高めの位置に左右グリップがくるように設計されている点もブレイクアウト117とは異なる。
結果的にポジションがコンパクトになり、マシンのサイズを不必要に感じることなく、コンパクトな取りまわしが可能だ。実際にストリートでのストップ&ゴーといった極低速走行時、マシンに対して入力されたリアクションがつかみやすく、Uターンも含めたユーザビリティーの高さに好感が持てた。この事実は、乗り手を選ぶことなく、多くのユーザーに幅広く楽しめるマシンを提供したいと願うハーレーダビッドソンの心意気だろう。
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